今回の記事は野球のウォーミングアップについてお伝えしていきたいと思います。
香川県三木町で軟式少年野球チーム「氷上軟式野球スポーツ少年団 」のコーチからストレッチ講習の依頼がありましたので、そのウォーミングアップのストレッチメニューを記事にして、皆様にもご紹介いたします。たいへんご好評いただきましたので、ぜひ試していただければ幸いです。小学生だけでなく、中学生・高校生・大学生・大人・現役選手にも最適なストレッチメニューです。
私は、陸上競技のやり投げ種目を専念してきました。やり投げも野球の投げも、物体を効率よく投げるという基本的な動作は同じです。※執筆者:北野 プロフィール
※細かく言えば、違う部分もあります。
そこで、ピッチング動作に重要な主な部位は、股関節・胸(胸郭)・肩甲骨です。
この3部位をしっかりと正しい形でストレッチすることで、投げの瞬発力やダイナミックな大きな動きが可能となります。
球の伸び、回転力(スナップ)が格段に変わってきますので、ぜひ参考に取り入れてみてください。
目次
野球に適しているのは、動的ストレッチ?それとも静的?
肩甲骨・胸(胸郭)・股関節の可動域を広げ、試合で最大のパフォーマンスを発揮するためのストレッチをご紹介しますが、そもそも野球のストレッチの方法は動的ストレッチが良いのか、静的ストレッチが良いか、議論されることもあります。
静的ストレッチングとは、伸ばしたい筋をストレッチ(伸長)させるために、ある関節を通常の可動域以上の位置に固定させ、一定時間保持し続けるものです。 一方、動的ストレッチングとは、リズミカルに、ときには軽く反動動作をつかって関節を通常の可動域以上動かし、目的とする筋を引き伸ばすものです。動的ストレッチはダイナミックストレッチとも言われます。
2010年のスポーツ外科医と広島大学大学院で研究された内容によると競技前の直前に動的ストレッチを行うことで静的っストレッチ後よりも高い筋力を発揮し、競技能力が向上すると以下のように発表されています。
静的および動的ストレッチング後に生じる足関節可動域と筋力の経時的変化
下腿三頭筋に対する動的ストレッチはスポーツ活動の10分前に行うことで筋力発揮の低下を起こすことなく,かつ静的ストレッチと同程度の関節可動域の増大が得られることが示された。動的ストレッチが直接競技能力向上につながるとはいいきれないが,特に高い筋力が必要とされる競技の前に動的ストレッチを行うことで静的ストレッチ後よりも高い筋力を発揮し,競技能力が向上する可能性が考えられる。和光整形外科スポーツクリニック:土井眞里亜
広島大学大学院 保健学研究科:浦辺 幸夫 山中 悠紀 野村 真嗣 神谷奈津美
私個人としての考えは、試合前や練習を始める前には、動的ストレッチで筋肉や関節の収縮力を高め、試合や練習後のクールダウンでは静的ストレッチで疲労を回復させる方法を推奨しています。
野球に関わらず、あらゆるスポーツにおいて動的および静的ストレッチをその場面によって上手く使い分けることが大切です。
また、痛みやケガをしている場合は反動をつけない静的ストレッチで、ゆっくり息を吐きながら行うことをお勧めしています。
では、実際にストレッチを行う前に、自分の柔軟度を知っておくことも大切です。
そこで柔軟度合いの一つの指標として、野球ボールを使った頭上投げで確認することができます。
「頭上投げ」で柔軟性テスト
頭上投げは簡単なようですが、体が硬かったり、ウォーミングアップが十分でないと上手くできません。
やり方は、ボールを上投げでまっすぐ高く投げるだけです。
「まっすぐ・高く」飛ばないと脚・腰・胸・肩・肘の柔軟性が足りなかったり、また各関節から力の連動が上手くできていないと考えられるテストです。
2回から3回試してやってみましょう。
試合で最大のパフォーマンスを発揮するストレッチメニュー
誰もが、狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮したいと思うのは当たり前のことです。
しかし、思ってばかりでは変わりません。
日頃からのケアや正しい方法を知り、実践することが大切です。
これから紹介するストレッチメニューは、主に身体の3部位「股関節」「胸」「肩甲骨」の柔軟性・可動域を広げ、さらにそれらをうまく連動させて野球という競技に結び付けるところまでをご紹介します。
紹介するストレッチをまずは一通り行ってみて、その後自分に合ったストレッチをピックアップしても良いと思います。
では、お待たせしました!野球のウォーミングアップに使える試合で最大のパフォーマンスを発揮するストレッチを試してみましょう!
試合前は動的ストレッチで、練習後は静的ストレッチで行うことをお勧めしています。
股関節の柔軟性を高めるストレッチ
股-①股関節柔軟性チェック
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右2周×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#73
股-②内転筋ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#53
股-③前後開脚ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右20秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#Q_IMG_3118
股-④股関節内旋ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#98
股-⑤大殿筋ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#101
股-⑥開脚
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 前20秒左右20秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#Q_IMG_3119
股-⑦片側開脚ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右20秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
管理ID:#Q_IMG_3119
股-⑧腰の捻転
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#Q_IMG_3567
股-⑨ハードリングストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右1分ずつ(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#20
股-⑩股関節柔軟性チェック
もう一度転がってみよう!
胸(胸郭)の柔軟性を高めるストレッチ
胸-①肋骨間マッサージ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 場所を移動しながら |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#62
胸-②胸郭・背骨ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#59
胸-③座りながら大胸筋ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#71
胸-④寝ながら大胸筋ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#70
胸-⑤二人組ブリッジ
胸-⑥おんぶで背中胸反らし
肩甲骨の柔軟性を高めるストレッチ
肩-①立甲チャレンジ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#22
立甲ができると野球の投げる動作に大切な肩甲骨の動きに磨きをかけることができます。
立甲はすぐにできるものではありませんが、こちらの「立甲(りっこう)の正しいやり方と肩甲骨が立つメリット」で詳しくやり方を解説しています。
肩-②肩甲骨インナーマッスルエクササイズ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#7
肩-③小円筋・大円筋ストレッチ(座りながら)
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#14
肩-④小円筋・大円筋ストレッチ(寝ながら)
姿勢 |
|
方法 | |
回数 | 左右5秒×2セットずつ(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#67
肩-⑤肩甲骨エクササイズ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#5
肩-⑥二人組体幹ひねり
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#3
肩-⑦二人組肩甲骨はがし(またいで)
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
肩-⑧立甲チャレンジ
手首
手首-①尺側手根屈筋ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#39
手首-②尺骨側ストレッチ(2)
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント | |
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#40
手首-③座りながら尺骨側ストレッチ(3)
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
管理ID:#72
手首-④橈骨側ストレッチ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 左右10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) 反対側も同様に行いましょう |
ポイント |
|
効果 |
|
管理ID:#82
柔軟性・可動域が広がった身体を連動させ、野球の動きにつなげる
ほぐしただけでは、ケガをするリスクを減らすことができますが、動きをつなげていく作業を入れるとより運動能力が高まります。
パフォーマンスを高めるために全身の筋肉を連動させる必要があります。
地面を蹴って脚、股関節、腰、胸、肩、肘、手首をつなげるメニューです。
連動のコツは、コマの原理(ジャイロ減少)
あらゆるスポーツにおいて、体の連動は三つの回転軸が機能し合ったときに最大のパフォーマンスを発揮することができます。
ウェーブの動き
肩入れ
頭上投げ再テスト・キャッチボールで効果を確認
今日紹介したストレッチメニューは、最初は時間がかかったかもしれませんが、慣れてくると15分から20分でできます。
では実際にどれだけ、身体に変化が得られたか再び頭上投げを行ってみてください。
ずいぶん軽く球を投げられるようになったと思いませんか?
頭上投げでは、最初投げた時よりも「高く」「まっすぐ真上に」投げられるようになりましたか?
実際に「氷上軟式野球スポーツ少年団 」でストレッチプログラム講習を行った時の効果や感想など選手たちの声をまとめてみました。
ストレッチプログラムを行った効果や感想
- 「球が伸びるようになった」
- 「投げた球から音が聞こえるようになった(回転力がアップした)」
- 「遠くまで投げられるようになった」
- 「スピードがアップした」
- 「変な力みがなくなった」
- 「まっすぐ投げられるようになった」
- 「球筋が変わった」
- 「遠くまで投げすぎて、学校の窓ガラスが割れちゃった💦」
ストレッチを正しく、行うことによって競技力向上は自分の体で体感できたと思います。
ストレッチの大切さを感じて、日ごろのメニューの中にも取り入れていただければ幸いです。
また小学生だけでなく、大人・現役選手にも最適なストレッチメニューです。
ケガや痛みを感じる場合は無理をせず行ってください。
今回紹介したストレッチプログラムは、肩や股関節などの痛みを取り除くストレッチではありません。
そのような場合は、かかりつけの医師へ相談してください。
コメント