三日月のポーズ
Crescent Moon Pose
【概要】 | |
別名 アンジャネーヤアーサナ/Crescent Moon Pose/ローランジ | |
ターゲット 腸腰筋 / 大腿二頭筋 / 大腿四頭筋 / 腹直筋 / 下腿三頭筋 / 大殿筋 | |
レベル 初級 | |
必要な道具
|
基本的な方法と正しいフォーム・やり方のコツ・安全と注意事項・応用編について詳しく解説していきます。
また三日月のポーズは別名アンジャネーヤアーサナとも言われ、ローランジの腕を上げた形でもありますが、本記事ではポーズの名前を「三日月のポーズ」に統一して解説していきます。
SNSやブログ等で紹介してもらえるとうれしいです。
目次
基本的な方法
タップしてフィットネス動画を見る
三日月のポーズは、横から見た形が三日月のように曲線を描くダイナミックなポーズです。そのため英語では「Crescent Moon Pose」と呼ばれています。SNSなどで見かける方が多いかもしれませんね。
サンスクリット語で「アンジャネーヤ」は、孫悟空のモデルになったといわれる猿人の神様ハヌマーンの別名です。膝位の初級レベルになります。
半月のポーズや戦士のポーズⅠ(英雄のポーズⅠ)と混同しやすいので、気を付けながら行っていきましょう。
動作手順と呼吸
- 四つん這い姿勢になります。
- 背筋をまっすぐに保ったまま、お尻を高く上げます。(ダウンドッグのポーズ)
- 息を吸いながら右足を両手の間に踏み出します。
- 骨盤を正面に向けて、左右とも同じ高さになるよう調節します。
- 左足の膝~甲をまっすぐ伸ばして床につけます。
- 骨盤を垂直に立て、おへそを引き込むように力を入れます。
- 息を吸いながら両手を合わせて天井に上げます。
- 息を吐きながら胸を引き上げ、肩甲骨は床へ下げるイメージで体の前面を伸ばします。
- 尾骨は床へ下げて、呼吸を繰り返しながらキープします。
- 反対側も同様に行います。
三日月のポーズの効果を高めるコツ
三日月のポーズはきちんとコツを押さえておかないと、せっかくのヨガトレーニングの効果が下がってしまうこともあります。
フォームには気を付けましょう。
コツ①左右の骨盤の高さをキープ

左右の骨盤の高さをキープ
体の中心にある骨盤は土台であり、上半身にも下半身にも影響を与える重要な部分です。正しい位置や向き、傾きを意識して行いましょう。
まず、どちらかの骨盤が床へ下がっていませんか?特に後ろ足側の骨盤は要チェックです。下げている体を一度緩め、骨盤の左右の高さを揃えましょう。高さが揃ったままの状態をキープしたまま、近づけられるところまで尾骨を床へ下げてください。
骨盤の向きも重要です。前足側の骨盤が引っ張られて突き出していませんか?もしくは後ろへ足を伸ばすときに、骨盤ごと後ろへ引っ張られている可能性も考えられます。下腹に力を入れて、骨盤を左右とも正面に対して平行に揃えてください。足を前後に開く力に負けず、体幹(コアマッスル)を使ってキープしましょう。
最後に、骨盤を垂直に立て、前ももとお腹を離して、骨盤が前傾にならないように注意しましょう。
コツ②前膝は足首のまっすぐ上に

前膝は足首のまっすぐ上に
膝が足首より前後どちらかに出すぎたり、左右へずれていませんか?前足の膝は足首からまっすぐ上にセットしましょう。
理由は、足の裏全体でしっかり床を押せるようにするためです。足の裏全体ではなく足の指先だけで支えようとすると、膝に負担がかかります。前ももにも力が入りやすくなり、リラックスできません。前ももの前張りをなくして、すらりとした足にするために重要なことです。難しく感じる方は、下げている体を上げて、少し強度を弱めましょう。
大事なのは前足の前ももがリラックスした状態で、後ろ足のそけい部(腸骨筋)が気持ちよく伸びていることです。
また、膝が左右どちらかへずれてしまう場合は、裏ももの筋肉(大腿二頭筋)を意識しましょう。最初は難しく感じますが、続けていくうちにコントロールできるようになります。あきらめずにチャレンジすることが大切です。
コツ③リラックスしたまま肩・腕・手先まで伸ばす

リラックスしたまま肩・腕・手先まで伸ばす
上半身は肩の力を抜いてリラックスさせてください。特に肩が上がり、耳と近づいていないか注意しましょう。肩から肩甲骨にかけてしっかりと下げて、耳との距離を離してください。
余計な力が入ってしまうと、本来の効果が得られなくなってしまったり、体を痛めたりしてしまいます。そして最大の理由は、上半身に力が入っていると呼吸が止まりやすくなってしまうからです。ヨガにおいて呼吸は基本であり、体にさまざまな効果をもたらす重要なポイントです。余計な力を抜いて、自然な呼吸を続けましょう。
しかしながら、リラックス=だらんとする、ではありません。適度な緊張をもって上半身を正しく伸ばしましょう。後方の天井に向かって肘~指の先までしっかりと伸ばします。首の後ろが詰まらない程度に顎をひき、胸を天井に見せるように開いていきます。どうしても腕を上げることで力が入ってしまう方は、腰に添えてもかまいません。ご自身の体に合わせて調整してくださいね。
大事なのは、上半身が気持ちよく伸びているのを感じながら、自然と呼吸が続けられることです。
コツ④お腹を締めて、背骨を反らす

お腹を締めて、背骨を反らす
腰を反らすのではなく、背骨全体を正しく反らすことが大切です。
コツ①でご紹介したように、骨盤が前傾にならないためにも重要です。おへそを内側へ引き込むようにして下腹に力を入れ、恥骨を引き上げるようにして、前ももと離していきましょう。お腹を締めることで、腰を守りながら背骨を反らすことができます。下半身から上半身を引き離すイメージで行うと良いでしょう。
次に、伸ばした上半身に合わせて背中全体を長く、後ろへ伸ばしてください。コツ③でご紹介したように、天井へ向かって見せるように胸を開くことによって背中が自然とカーブを描くようなイメージ、もしくは、伸ばした肘~指先に沿って後方の天井から引っ張られているイメージで行うと
良いでしょう。背面の力に頼るのではなく、前面の体幹(コアマッスル)の力を意識してください。
難しい場合は、まず天井に向かって垂直にバンザイができるように練習してみましょう。
効果
三日月のポーズは、「腸腰筋」という重要な筋肉を気持ちよく伸ばしてくれるポーズです。
下半身からお腹にかけてのストレッチと強化を同時に行うことができます。さらに上半身や全体のシルエットも整えてくれます。
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
効果①お腹~股関節・脚のストレッチと体幹と下半身の筋肉強化を同時に
三日月のポーズは、お腹から足にかけて下半身のストレッチと筋肉の強化が同時に行える一石二鳥のポーズです。

三日月のポーズで伸びる筋肉群
後ろへ伸ばした足は、前ももの筋肉(大腿四頭筋)とそけい部(腸腰筋)がストレッチされて、気になる前張りや緊張をほぐしてくれます。
前へ踏み出した足は、お尻の筋肉(大殿筋)が伸びることによって、下半身の血行を促したり腰への緊張を和らげてくれます。

三日月のポーズで下半身と体幹の強化
同時に、ハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)は強化されて、足全体の引き締めやヒップアップにも効果があります。
お腹を引き上げるように力を入れるので、お腹の筋肉(腹直筋)にも効果があり、下半身全体がキュッと引き締まったボディにしてくれます。
効果②美シルエットの秘訣、腸腰筋を刺激

腸腰筋
大腰筋・小腰筋・腸骨筋の3つの筋肉をまとめて腸腰筋と呼びます。すべて体の深部にあり、いわゆるインナーマッスルと呼ばれる筋肉です。上半身と下半身をつなぐ重要な役割を持ち、股関節周りを伸ばしたり回したりすることで、刺激することができます。
効果①でも触れたように腸腰筋は太ももの前張りや緊張をほぐして、すらりと伸びる足にしてくれます。さらに、インナーマッスルである腸腰筋をケアすることで骨盤の位置を調節して安定させ、ポッコリお腹解消にも効果があります。
不安定だった骨盤の位置が戻ると重心もしっかりするので、本来の姿勢・美しいシルエットへと導き、正しい姿勢に戻ることができます。気になる太ももの前張り~ポッコリお腹~丸まった姿勢が解消できて、内側からもきれいになれますよ。
バランス感覚も向上して足が上げやすくなるので、ランニングをしている方は走るスピードがアップしたり、もちろんヨガでもできなかったポーズに成功したり、ケガや転倒防止にもつながります。
効果③上半身にもうれしいスタイルアップ効果

体幹(インナーマッスル)を鍛えて姿勢キープ
肩周りをストレッチすると肩甲骨周りの大きな筋肉がほぐされるので、肩~首の張りや緊張を和らげてくれます。代謝アップにも効果的ですよ。柔軟性もアップするので肩甲骨や胸周りの可動域も上がり、背筋を伸ばして姿勢を整えるスタイルアップ効果もあります。
「背筋を上向きにして伸ばす」、「肩甲骨を締める」、「胸を開く」ことは、バストアップ効果にもつながります。
腕を伸ばしてあげることで二の腕の引き締めにも!
そして、胸を開くことは呼吸を深めてくれるということでもあります。コツ③でお話したように、ヨガにおいて呼吸は重要な働きをします。普段何気なく行っていますが、意識することで効果がアップします。
効果④リラックス効果&集中力アップ
胸を開いて呼吸を深めることでなにが得られるのか。リラックス効果です。現代人は特に慌ただしく、仕事や家事に追われています。それだけでなく、対人関係や新しい環境への適応などさまざまな悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。現代人のわたしたちは、自分が思う以上にイライラや不安を抱え込んでいる状態なのです。
目まぐるしく毎日を過ごす現代人こそ、呼吸を深めて気持ちを落ち着かせ、自分の心と体を大切にしてあげてください。
三日月のポーズはリラックス効果だけでなく、ポーズを維持するために集中も高まるので、仕事や家事の効率も上げてくれるでしょう。
応用編
他にも三日月のポーズを応用したやり方をご紹介します。
三日月のポーズを基本とした応用①・②は、さらに効果を高めてくれるポーズです。
自分のなりたいボディを頭に描きながらチャレンジしてみてくださいね。
応用③はシークエンスとしてオススメのポーズです。
まだ三日月のポーズが難しく感じる方は応用④の軽減法を試してみましょう。
応用①前ももを伸ばすローランジ
三日月のポーズは、両腕を伸ばしたローランジ(低ランジ)でもあります。
こちらでは一度腕を解放してローランジになり、張りがちな前ももをより強く伸ばしていく応用ポーズになります。
腕を上げるのが難しい方は床に手をついてもかまいません。
前ももの張りが気持ちよく伸びているのを感じながら行いましょう。

前ももを伸ばすローランジ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 5呼吸 |
ポイント |
|
効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
応用②伸ばしたまま回転ローランジ
上記の応用①でご紹介したポーズに、回転を加えたポーズになります。
「回転=ひねり」を加えることで引き締まったお腹にしてくれ、胸も開くのでリラックス効果が高まります。
しかしながら強度が高いので、無理に行うと反対に体を痛めてしまう可能性があります。
注意しながら行うようにしましょう。

回転ローランジ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 5呼吸 |
ポイント |
|
効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
応用③半分の猿王のポーズ
三日月のポーズと同じハマヌーン(猿人の神様)の名前が付いているポーズです。
足の裏全体を伸ばすポーズであり、三日月のポーズと併せて行うことで足痩せ効果が高まります。
シークエンスも可能ですので、続けてチャレンジしてみてくださいね。

半分の猿王のポーズ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 5~10呼吸 |
ポイント |
|
効果 |
|
応用④三日月のポーズができない方向け
三日月のポーズの姿勢がつくれない方は、道具を利用することでサポートすることができます。
初心者の方や慣れない方は、ヨガ専用道具を使うことをお勧めします。
ヨガブロックを使った三日月のポーズ

ヨガブロックを用いて三日月のポーズ
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 5~10呼吸 |
ポイント |
|
おすすめのヨガブロックと使い方をまとめた記事はこちらを参考にしてみてください。
安全と注意事項
三日月のポーズは、すべてのレジスタンスエクササイズと同様に、効果と安全性のために正しいフォームとテクニックを必要とします。
次の安全と注意事項は、三日月のポーズを正しく行い、怪我のリスクを減らすのに役立ちます。
- 股関節、そけい部、膝にトラブルを抱えている場合は無理に行わないでください。
- 腰に違和感を感じる場合は中止してください。
- コツや軽減法を参考にしながら、角度を緩めたり、見直してください。
- 無理にポーズを完成させようとせず、ご自身の体と相談しながら行ってください。
- 体に負担がかかりすぎないように長時間は行わないようにしてください。
- ヨガは他人と比べるものではありません。ご自身のペース、呼吸でリラックスして行いましょう。
- 三日月のポーズ中に痛みや不快感を感じる場合は、すぐに運動を中止してください。
- 三日月のポーズを行ってよいかどうか不安を感じる場合は、ご自身で判断せず、かかりつけ医にご相談ください。
- ヨガマットの使用をおすすめします。
- 場合によってはヨガブロックの使用をおすすめします。
コメント