
腸骨筋(ちょうこつきん)機能解剖学図・起始停止・働き
腸骨筋(ちょうこつきん)は、骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉です。今回は、この筋肉を詳しくご紹介すると共に、ストレッチによりどんなメリットがあるかも詳しく解説しましょう。特に、股関節や下半身の動きが悪いと自覚している人は、隅々までチェックしてみてください。
目次
腸骨筋とは
最初に、腸骨筋とはどんな筋肉か、存在する位置や主な働きを見ていきましょう。
詳しく知るほどに、インナーマッスルの一つとして重要な役割があることが分かります。
腸骨筋の位置(起始停止)
腸骨筋の始まりは、骨盤の内側にある腸骨窩と下前腸骨棘で、終わりは大腿骨の小転子を越えた辺りです。
ちょうど骨盤を両手でつかむようにしたときに、人差し指から小指にかけての位置になります。
腸骨筋の解剖図を動画で簡単解説
【消音】タップして動画を見る(#74)
骨盤と大腿骨をつなぐように存在しており、骨盤周辺に位置するインナーマッスルの中では、比較的大きな筋肉です。
ただし、インナーマッスルなので、外側から触れて直接存在を確認することはできません。
しかし、骨盤や大腿骨をつなぐ筋肉として大きな意味を持っているのです。大腰筋や小腰筋と同様に深部にある筋肉だからこそ、余計に意識してストレッチをする必要があるともいえます。
起始 | 腸骨窩の底部および仙骨、腰仙関節と仙腸関節の前面にある靭帯 |
停止 | 大腿骨小転子 |
神経 | 大腿神経の第2・3腰神経の分枝 |
作用 | 股関節屈曲、股関節外旋 |
腸骨筋の作用
腸骨筋には、大腰筋と協力しながら骨盤を前に傾けたり(股関節屈曲)股関節を曲げながら外側に曲げる働き(股関節外旋)があります。
長時間座ったままなどで柔軟性を失ってしまうと、周辺のインナーマッスルと同様に固まってしまい、思うように骨盤や股関節を動かせなくなります。
無理に動かそうとすると違和感が出てしまうことでしょう。
腸骨筋の股関節の外旋動作を動画で簡単解説
【消音】タップして股関節の外旋動作を見る (#D46)
股関節の外旋動作では、腸骨筋の他に、大殿筋、中殿筋、梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、縫工筋なども連動して股関節の外旋動作を行います。
※参考:Muscle Premium – Visible Body
腸骨筋の股関節の屈曲動作を動画で簡単解説
【消音】タップして股関節の内旋動作を見る(#D45)
股関節の屈曲動作では、腸骨筋の他に、大腰筋、中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋、縫工筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、大内転筋、腸脛靭帯なども連動して股関節の屈曲動作を行います。
※参考:Muscle Premium – Visible Body
股関節が正常かつスムーズに動くことは、日常生活の暮らしやすさにつながります。
股関節が固い人に比べて、柔らかい人のほうが何かと多くの効果があるものです。
腸骨筋の働きを正しく理解し、柔軟性を高めることはとても大切なことといえます。意識して使ったりストレッチしたりして、普段から最適な状態に整えておきましょう。
腸骨筋のストレッチ方法
動画で分かりやすくストレッチ方法を解説
股関節の前後(屈曲動作)を滑らかに柔らかくするストレッチメソッド
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#47)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
体幹と骨盤(股関節)のインナーマッスルのケアトレーニングで可動域が広がるPNFメソッド
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#66)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 5秒×左右2セットずつ(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
腸骨筋(腸腰筋)の筋膜リリース!股関節と腰部をローラーストレッチでほぐす
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_1081)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 4往復ローリング×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
北野 優旗
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腸骨筋をストレッチをした効果
腸骨筋をストレッチすることで得られる効果について、主なものをご紹介します。
しっかりストレッチして柔軟性を高めるほどに生活の質が向上し、ケガを防ぐ効果があることが分かるはずです。
効果歩行時に脚が上がり、つまづきにくくなる
腸骨筋をストレッチすると、歩行時に脚がよく上がるようになって、段差や階段などでつまづきにくくなります。この筋肉の柔軟性が高まると、骨盤周辺の動きがよくなるからです。今まで、何でもないところやちょっとした段差でつまづいたことがある人は、腸骨筋が柔軟性を失っている可能性があります。普段運動する習慣がない人は、腰や脚の筋肉を使わない分動きが悪くなっているものです。しかし、コツコツとストレッチをしていけば、少しずつ脚が上がるようになることを実感できるでしょう。
脚がスムーズに上がるようになれば、つまづきにくくなるだけでなく、軽やかでとても美しい歩行スタイルになります。周囲にも、若々しくハツラツとして見られるようになるでしょう。30~40代の女性でも、歩くときに脚がよく上がらないと感じる人は、今のうちからストレッチを行ってみてください。家事や育児の合間にコツコツ続けることで、骨盤周辺のインナーマッスル全体に柔軟性が戻り、スムーズに脚が上がるようになるため、つまづきによる思わぬケガを防ぐことができます。
普段電車で通勤している人なら、駅の長い階段を上り降りするときにも、脚がスムーズに上がるので疲れづらくなります。特に、上りの階段で大きな違いを実感することでしょう。今までの疲れ具合とはまったく違い、余裕を感じるようになります。また、たくさんの人の中でも、流れに乗って上り続けたり下り続けたりしやすいので、体だけでなく精神的な負担も軽くなるはずです。通勤だけでも疲れてしまいぐったりする毎日だという人は、脚をしっかり上げて歩くためにもストレッチが必要でしょう。毎日続けるほどにつらさが軽減し、本業の仕事も効率よく進みます。
効果股関節が柔らかくなる
腸骨筋をストレッチすると、股関節が柔らかくなります。股関節が硬いと脚がうまく動かせないので、急な階段を上り下りするのが大変だったり、お風呂の浴槽をまたぎにくくなったりすることもあります。しかし、ストレッチにより股関節が柔らかくなれば、脚がよく開くので動きがスムーズになります。また、腰周辺に余計な負担がかからないので、だるさや違和感も解消することが可能です。
趣味でヨガをやっている人は、今までできなかったポーズがキレイにできるようになります。たとえば、あぐらを組んで体をひねるポーズなどは、特に美しくなることでしょう。脚をきちんと開くことができて正しいポーズを取れるようになれば、ますますやる気が出て、力が入るはずです。また、ヨガで正しいポーズを取れるようになると、より美しい体に近づくことができます。
股関節が柔らかくなれば、転びそうになったときにもうまくバランスを取れるようになり、転んでしまうリスクを大幅に減らせます。何かにつまづいたときなどでも、とっさに股関節を大きく動かせる人は、転んでも軽症で済むケースが多いでしょう。しかし、股関節が硬い人はバランスを大きく崩してしまうので、思わぬ大ケガにつながりやすく注意が必要です。ストレッチを積極的に行い、股関節を柔らかく保ちましょう。
効果腿が上がりやすくなり、走るスピードアップ
腿が上がりやすくなり、走るスピードがアップするのもメリットです。腿がよく上がることでより速く前方に足を出すことができ、結果的にスピードアップにつながります。子どものころと同様によく腿が上がって速く走れるようになれば、自分でも走るのが楽しいと思えるほどです。趣味でスポーツをしている人も、速く走れることで思いどおりのプレーができるようになるでしょう。
スポーツをしていない人でも、走るスピードがアップすると思わぬ効果があります。たとえば、子どもの運動会で親として参加せざるを得ない場合でも、速く走ることができれば子どもが大喜びすることでしょう。親が活躍する姿を見るのは、子どもにとってとてもうれしいことです。また、バーゲンなどで早いもの勝ちでセール品をゲットしやすくなる、遊園地で人気のアトラクションを目指して速く走れるなど、たくさんの効果を感じるはずです。
そのほかにも、何かの理由で素早く逃げたり避難したりするときに、速く走ることができれば身の安全を確保しやすくなります。災害時など、障害物を避けたり避難先へ移動したりするときにも、有利になるでしょう。自分だけでなく、大切な子どもや家族を守るためにも、速く走ることができるのは大きな効果となるのです。さらに、速く走ってもつまづきにくいので、途中で転んで思わぬケガをするリスクも減ります。いざというときのためにも、しっかりストレッチをして柔軟性を高めておくことがおすすめです。
腸骨筋ストレッチのまとめ
腸骨筋をストレッチすることで、骨盤周辺の動きが改善されて歩行時に脚が上がりやすくなったり股関節が柔らかくなって腰や脚への負担が軽減したりします。
今までより速く走れたりつまづきにくくなったりするなど、よりアクティブかつ安全に活動できるのも大きな効果です。
また、ストレッチを続けるほどに、骨盤を前に倒しながらひねる動作がしやすくなり日常生活が楽になります。
もちろん、1回やってみてすぐに十分な効果を得られるとは限りません。日々の積み重ねで徐々に硬くなってしまった分、長い目で柔軟性を取り戻すのだと考えてください。
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