【名称】縫工筋
【よみ】ほうこうきん
【英語名称】Sartorius muscle
縫工筋は、太腿の内側にあり、骨に近い部分ではなくて表皮に近い部分にあります。
人体には対象さまざまなサイズの筋肉がありますが、その中でも縫工筋は最も長い筋肉として知られています。
しかし長さはあっても幅は狭く、ハムストリングスのように面積が広いわけではありません。
細長い形をしているのが特徴です。
目次
縫工筋とは
縫工筋は、股関節と膝関節という二つの関節にまたがって伸びている二関節筋です。
この筋肉が沿っている大腿骨は、人体の中では最も長い骨であり、その大腿骨の上部には股関節、下部には膝関節があります。
縫工筋は、大腿骨の上にある骨盤から、膝関節の下にある脛骨上部までをつなぐ筋肉群の一つです。
ちなみに、この筋肉は人体の中では最も長さのある筋肉ですが、人体の中で最も面積が広い大腿四頭筋もまた、この大腿骨に沿っている筋肉です。
縫工筋の位置(起始停止)
この筋肉は、骨盤にある上前腸骨棘を始点とし、脛骨の内側側面にある鷲足まで伸びています。
上前腸骨棘は大腿骨上部の外側に位置していて、脛骨鷲足は膝関節の内側に位置しています。
つまり、縫工筋は大腿骨の外側から内側に向かって斜め下方向に伸びる筋肉です。
縫工筋の解剖図を動画で簡単解説
【消音】タップして動画を見る(#91)
起始部となる上前腸骨棘は、骨盤の中でも最も左右に飛び出している部分で、皮膚の上から自分で触診できます。
しかし、この筋肉は上前腸骨棘を始点としているので、指で触れてもなかなかこの筋肉を確認することは難しいかもしれません。
停止部である脛骨の鷲足部というのは、大腿骨と膝関節で繋がっている脛骨の上部にあります。
鷲足というのはガチョウの足という意味を持ち、縫工筋と薄筋、そして半腱様筋という3つの筋肉が並んでいる様子がガチョウの足の形に似ているという所からネーミングされました。
起始 | 上前腸骨棘 |
停止 | 脛骨粗面内側(鵞足) |
神経 | 大腿神経 |
作用 | 股関節の屈曲 股関節・膝関節の屈曲に伴う股関節の外旋 膝関節の屈曲 |
縫工筋の作用
この筋肉は、股関節の屈曲動作と、膝関節の屈曲動作の両方に関与します。
しかし、足の付け根と膝を同時に曲げるような動作をした場合には、股関節と膝関節の両方を同時に屈曲することになります。
同時屈曲の場合には、どちらかだけを屈曲する場合と比べて、縫工筋の作用は弱くなるという特徴があります。
その他にも、この筋肉は股関節の外旋や外転動作、そして膝から下の内旋動作などもサポートしています。
足を曲げたり横方向に動かしたり、またボールを蹴り上げるような動作をする際には、この筋肉はよく使われます。
日常生活の中でも頻繁に使う筋肉で、歩いたり走ったり、また自転車をこぐ動作をする際にも酷使する筋肉です。
スポーツでは、下半身の細かい動きが必要となるサッカーを始め、体操やダンス、格闘技など幅広い種目でよく使う筋肉と言えるでしょう。
縫工筋の膝の屈曲動作を動画で簡単解説
【消音】タップして膝の屈曲動作を見る(#D49)
膝の屈曲動作では、縫工筋の他に、ハムストリングス(半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋)薄筋、腓腹筋、アキレス腱なども連動して膝の屈曲動作を行います。
※参考:Muscle Premium – Visible Body
北野 優旗
では、さっそく縫工筋のストレッチを行ってみましょう!
縫工筋のストレッチのやり方
動画で分かりやすくストレッチ方法を解説
もも前の大腿四頭筋・縫工筋を伸ばして膝・股関節の屈曲動作を楽にするやり方
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#92)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右5回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
内ももを伸ばして股関節と膝の内側を伸ばすやり方
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#109)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右15回×2セットずつ(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
股関節を内旋させ外旋筋を伸ばすやり方
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#103)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
膝関節の屈曲動作と股関節の外旋動作を楽にする縫工筋ストレッチのやり方
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#97)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
縫工筋のストレッチ効果
縫工筋をストレッチすると、骨盤から股関節、膝関節の動きがスムーズになる他、下半身の動きの安定感がアップする効果が期待できます。
この筋肉が筋力低下によって硬くなってしまうと、足を動かしづらくなったり、可動域が狭くなってしまうために安定感がなくなってしまいます。
この筋肉は、長さとしては人体の中で最も長いという特徴がありますが、ハムストリングスのように大きくありません。
そのため、この筋肉のみをターゲットにして鍛えることは難しいでしょう。
この筋肉はハムストリングスなど他の大腿骨を覆っている筋肉と連動して作用するので、ストレッチをする際には大腿部のストレッチをするのがおすすめです。
膝や股関節の動きが安定し軽くなる
この筋肉をストレッチすることによって、股関節から膝関節の動きを安定する効果が期待できます。
筋力が低下すると、筋肉が硬くなり、股関節や膝関節の動きをスムーズにできません。
この筋肉をストレッチすることによって柔軟性を高めれば、股関節や膝関節を使った大腿部や下腿部の動きを筋肉がシッカリとサポートできるようになり、無理のない動きが可能となります。
また、体がブレにくくなり、安定感がアップするでしょう。
歩いたり、走る動作が楽になる
この筋肉は表皮に近い部分にある筋肉ですが、ストレッチをしてもパンプアップしてサイズアップするわけではありません。
ストレッチをする事で柔軟性を高めることができ、股関節や膝関節の可動域を広げる効果が期待できます。
これまでと同じように歩いたり走ったりする動作は、筋肉が骨の動きをしっかりとサポートしてくれるので、楽にできるようになるでしょう。
ランニングやウォーキングだけでなく、足を使う動作やスポーツをする際には、動きが軽快になりますし、これまでよりも大きな動きでも安定感を維持しやすくなります。
縫工筋ストレッチのまとめ
縫工筋は、骨盤の外側から脛骨上部の内側にかけて大腿骨を斜めに走る筋肉です。
人体の中では最も長い筋肉として知られていて、股関節や膝の動きに大きく関与しています。
ストレッチすることによって足の動きがスムーズになりますし、下半身を安定させることができます。
また、朝にストレッチをすることも、健康的な一日を送ることができます。
朝にする効果や朝ストレッチメニューをまとめた記事がこちらになります。
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