【名称】外閉鎖筋
【よみ】がいへいさきん
【英語名称】obturatorius externus muscle
股関節の動きに関与する筋肉にはいろいろなものがありますが、外閉鎖筋もその一つです。
この筋肉は大殿筋よりも骨に近い部分にあり、下双子筋と大腿方形筋に覆われているため、皮膚の上から指で触れて触診したり、動きを確認することが難しいという特徴があります。
目次
外閉鎖筋とは
外閉鎖筋とは、内閉鎖筋や梨状筋、大腿方形筋、双子筋と共に股関節の外旋にかかわる深層外旋六筋を構成している筋肉の一つです。
深層外旋六筋の中でも最も骨に近い深部にあるインナーマッスルで、他の深層外旋六筋に覆われています。
この深層外線六筋は、すべて股関節の外旋動作に関与するという共通点がありますが、外閉鎖筋は股関節の内転動作にもわずかながら作用しています。
外閉鎖筋の解剖図を動画で簡単解説
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外閉鎖筋の位置(起始停止)
外閉鎖筋は、閉鎖孔の内側にある骨縁の外側と閉鎖膜を始点とし、骨盤の前面から大転子の転子窩まで伸びている筋肉です。
その際には、小坐骨孔は通過しません。
この筋肉の起始部となる閉鎖膜は、恥骨と坐骨によって構成されています。
恥骨や坐骨、そして腸骨はどれも軟骨が契合している骨という特徴があり、成人になってから結合して一つの真骨となります。
その際には、坐骨と恥骨の間にわずかな環状の隙間が残ります。
これが閉鎖孔と呼ばれるものです。
閉鎖孔は外閉鎖筋の始点となっているほか、閉鎖神経も通っています。
そのため、この筋肉が筋力低下などで硬くなってしまうと、神経が影響を受けてトラブルを起こすリスクが懸念されます。
そうならないためには、普段から股関節を意識したストレッチをすると良いでしょう。
また、外閉鎖筋の停止部となる大転子の転子窩は、大腿骨にあります。
大腿骨は人体の中では最も長い骨として知られていて、股関節や寛骨、脛骨や膝関節を構成している骨です。
起始 | 寛骨外面の閉鎖孔縁および閉鎖膜 |
停止 | 大腿骨(転子窩) |
神経 | 閉鎖神経 (L3,L4) |
作用 | 股関節の外旋 |
外閉鎖筋の作用
この筋肉は、深層外旋六筋の一つです。
他の回旋筋腱板と同じように、他の筋肉と相互作用して股関節の外旋動作をサポートする働きがあります。
また、補助的なサポートとなるものの、股関節の内転動作にも少し関与しています。
深層外旋六筋の中には、外旋動作だけではなくて別の動作をサポートしているものもあります。
この筋肉もその一つで、メインの作用は外旋動作への関与ですが、内転動作にも必要な筋肉です。
股関節の外旋動作は、日常生活においては歩いている時に方向転換をしたり、体の向きを変える際に行います。
本人が意識して行うこともあれば、無意識のうちに外旋動作をしていることもあり、日常生活の中では比較的よく使う筋肉と言えるでしょう。
外閉鎖筋の股関節の外旋動作を動画で簡単解説
【消音】タップして股関節の外旋動作を見る (#D46)
股関節の外旋動作では、外閉鎖筋の他に、大殿筋、中殿筋、梨状筋、内閉鎖筋、縫工筋なども連動して股関節の外旋動作を行います。
※参考:Muscle Premium – Visible Body
また外閉鎖筋は、腸骨大腿靭帯をサポートすることによって、大腿骨頭を安定させるという働きも持っています。
体の向きを変える際には、軸足をシッカリ安定させることが必要となりますが、柔軟性、収縮性が保てることで軸足をより安定できます。
北野 優旗
では、さっそく外閉鎖筋のストレッチを行ってみましょう!
外閉鎖筋のストレッチのやり方
動画で分かりやすくストレッチ方法を解説
内旋させて外閉鎖筋を伸ばすやり方
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
骨盤底筋の内外閉鎖筋緊張を和らげるストレッチのやり方
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
骨盤底筋収縮運動を良くするストレッチのやり方
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#4)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
骨盤底筋群の収縮力を高める体操のやり方
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#44)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
外閉鎖筋のストレッチ効果
外閉鎖筋をストレッチすると、骨盤が安定してふらついたり躓いたりするアクシデントが起こりづらくなる効果が期待できます。
また、股関節の可動域が広くなることによって、スクワットなどの動きが楽になります。
骨盤を安定化させる
この筋肉をストレッチすると、骨盤を支えている腸骨大腿靭帯を安定することができます。
骨盤は上半身と下半身をつなぐ役割をしている骨で、人体においてはとても重要な役割があります。
内臓を正常な位置に維持する働きや、全身の血行を正常に維持する働き、そして上半身と下半身のバランスをとる働きもあります。
この骨盤がゆがんだりズレてしまうと、全身のバランスが悪くなってしまい、あらゆるトラブルが起こりかねません。
外閉鎖筋をストレッチすることによって骨盤を安定することができ、上半身から受ける負荷を適切に受け止めやすくなります。
骨盤が安定することによって下半身のブレが少なくなり、ふらついたり、転んだり、つまづくことが少なくなるでしょう。
股関節の動きを良くする
この筋肉をストレッチすることで、股関節の可動域を広げることができます。
可動域が広がることによって、これまでと同じ生活をしていても、一つ一つの動きが軽快で楽になるという効果が期待できます。
また、ヨガやピラティスなどのポージングや、スクワットなどの筋トレにおいては、股を開きやすくなるためにこれまでよりも楽にできるようになります。
開脚をしても、足をより広く開けるようになります。
スポーツでは、体操やスケート、バレエなどは股関節の動きや内外旋の動きがとても重要となります。
こうしたスポーツをたしなんでいる人にとっては、外閉鎖筋をストレッチすることで大きなメリットが期待できそうです。
外閉鎖筋ストレッチのまとめ
外閉鎖筋は、深層外旋六筋を構成しているインナーマッスルの一つで、他の筋肉と比べて最も骨に近い深部にあるという特徴があります。
股関節の外旋動作を主にサポートしますが、その他にもわずかながら股関節の内転動作もサポートしていたり、骨盤を安定させる役割も持っています。
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