ダウンドッグ
(下向きの犬のポーズ)
Downward Facing Dog
【概要】 | |
別名 下向きの犬のポーズ/下を向いた犬のポーズ/アドームカシュヴァーナーサナ | |
ターゲット 腹直筋/前鋸筋/腸腰筋/腓腹筋/大腿二頭筋 | |
レベル 中級 | |
必要な道具
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基本的な方法と正しいフォーム・やり方のコツ・安全と注意事項・応用編について詳しく解説していきます。
また「ダウンドッグ」は別名「下向きの犬のポーズ」や「アドームカシュヴァーナーサナ」とも言われ、本記事では名前を統一して、「ダウンドッグ」で解説していきます。
SNSやブログ等で紹介してもらえるとうれしいです。
目次
基本的な方法
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ダウンドッグとは、ヨガを学ぶ際に主要なポーズとして習う基本的なポーズです。太陽礼拝のポーズのひとつであり、休息に位置します。
柔軟性、バランス、ストレッチ、強化など様々な効果を兼ね備えた大事なポーズであり、最大の目的は背骨を伸ばすことです。背骨を中心に全身も気持ちよく伸びて、全身の血流を促す効果もあります。
しかし同時に多数の部位へ注意を払う必要があるため、初心者の方や体の硬い方はより難しいと感じるかもしれません。
しっかりとコツを押さえて、ダウンドッグをマスターしましょう。
動作手順と呼吸
- 手首を肩の下に、膝を足の付け根の下に置いて四つん這いになります。
- 手のひらをしっかり開いて手のひら一枚分前方へと移動させ、手のひら全体でしっかりとマットを押します。
- 息を吸いながら足の指先をマットに立て、息を吐きながら膝をマットから持ち上げ、お尻を斜め後ろの天井へと突き出します。
- 最初はかかとが床につかなくてもかまいません。少し膝を曲げたり、爪先立ちで対処してください。
- 肩はすくめずに耳と離します。肩甲骨を開き、背骨がまっすぐになるように意識してください。
- 腹筋に力を入れておへそを引き入れ、尾骨またはももの付け根を斜め後ろの天井へと突き出します。
- 呼吸を繰り返しながらかかとに重心をおき、裏もも・ふくらはぎをじっくりと伸ばしていきます。
- 5呼吸ほどキープしましょう。
- ポーズが終わったら、息を吐きながら膝を曲げていき、お尻の上にかかとをのせたチャイルドポーズになりましょう。
ダウンドッグのコツ
ダウンドッグはきちんとコツを押さえておかないと、せっかくのヨガトレーニングの効果が下がってしまうこともあります。フォームには気を付けましょう。
コツ①かかとに体重を乗せる

かかとに体重を乗せる
かかとに重心をおくことによって、裏もも・ふくらはぎが伸びます。なるべくかかとをマットに近づけていくことを意識することが大切です。
マットにかかとがつくことが望ましいですが、無理をすると筋や筋肉を痛める可能性があるため、浮いてしまってもかまいません。膝を曲げるなど対処してください。慣れるまで足先をマットにつけたまま足踏みするのも良いでしょう。
腰は過剰に丸まったり反ったりせず、股関節を引き込むように腰を中心にして体を折り曲げてください。
足の向きもチェックしましょう。過剰に内股やがに股にならないようまっすぐにセットしてください。内ももの筋肉(内転筋)を使って足全体を内側へ寄せます。感覚を掴むのが難しい場合はヨガブロックを内ももに挟んで行うと意識しやすいでしょう。足幅はこぶし一個分ほど開けるのが理想です。
かかとに重心をおきながら、なるべく床に近づけて、裏もも・ふくらはぎが気持ち良く伸びているのを感じることが大切です。
コツ②背骨をまっすぐ伸ばす

背骨をまっすぐに
背骨をまっすぐに伸ばすことで、裏もも・ふくらはぎがしっかり伸びます。
尾骨を天井へ突き出すために、お腹の筋肉(腹直筋)に力を入れる必要がありますが、背骨・背中が丸まったり反ってしまうと腰も同じように反応してしまい、お腹の力が抜けてしまうのです。背骨をしっかりとまっすぐ伸ばしてお腹の筋肉(腹直筋)に力を入れ、骨盤を前傾させましょう。お腹も長く細く伸ばしていきます。
首は背骨の延長線上に伸ばして顎をひき、できるだけ力を抜きます。目線はおへそを見るようにすると強度が高くなります。しかしながら、背骨が丸まってしまう可能性も高くなるので、慣れるまでは足の間へ向けると良いでしょう。
肩はすくめずに、耳と距離をあけます。肩甲骨同士も離して、背中が一枚の板になったように平らに保ちましょう。腕は肩幅程度もしくはマット幅程度に開き、手のひら全体でマットをしっかりと押します。マットを前に押し出すイメージで行うと良いでしょう。
下半身をしっかり伸ばすために、まず上半身をまっすぐにセットすることが重要です。
メリット
ダウンドッグは、ハムストリングスと背中を中心に全身を伸ばし、柔軟性を高めてくれます。
下半身痩せに効果的で、同時にお腹や肩回りなどの筋肉強化も兼ね備えています。
身体のバランスを整えてくれるうえに、リフレッシュにも役立ちます。
メリット①柔軟性アップ&血行を促進

前屈ストレッチ
全身を気持ちよく伸ばしてストレッチすることで柔軟性がアップします。柔軟性を高めることは筋肉を動かすことでもあり、筋肉の温度が上昇します。ダウンドックは全身を使うため、全身の筋肉の温度がアップします。つまり全身の血行が促進されて、基礎代謝がアップするのです。同じ運動量でも、より脂肪が燃えやすく痩せやすい体質にしてくれます。
筋肉の温度をアップさせることは運動によるケガの防止にもつながり、運動前のウォーミングアップにもピッタリです。さらに、運動や日常生活で溜まった余計な疲れを血行とともに流してくれる効果も期待できます。
足や手の先に冷えを感じる方、長時間同じ姿勢でいる方、ぜひチャレンジしましょう。
メリット②下半身痩せ

下半身太りを解消
ダウンドックは、硬くなりやすいと言われているお尻の筋肉(大殿筋)~ハムストリングス(半腱様筋・半模様筋・大腿二頭筋)~ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の大きな筋肉を特にストレッチしてくれます。大きな筋肉を刺激することで活性化し、下半身をより温めてくれます。メリット①でご説明したように、血行が促進されてすっきりとした下半身に導いてくれるでしょう。
また、ハムストリングス(半腱様筋・半模様筋・大腿二頭筋)の柔軟性を高めることで、骨盤を本来の位置へと戻してくれるため姿勢が美しくなります。姿勢が正しくなると丸まっていた背中も改善されて、ポッコリお腹解消にも効果的です。
美しい姿勢にしたい方、ポッコリお腹が気になる方におすすめです。
メリット③体幹の筋肉強化
股関節をしっかり曲げることでインナーマッスルである腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)を鍛えることができます。こちらも骨盤を調節して本来の位置へ戻してくれる効果や、美しい姿勢のためにも重要な筋肉です。日常動作ではあまり動かす機会が少なく、固まりやすい筋肉でもあります。意識して動かすことで、体のバランスが保ちやすくなったり歩幅が広くなったり、ジョギングやランニングも楽しくなりますよ。
もちろん肩周りの筋肉(広背筋)も強化が望めます。コツ②をしっかり守って行いましょう。
長時間座ったままの方、運動をもっと楽しみたい方、チャレンジしてみてくださいね。
メリット④リフレッシュ効果
2008年に論文で「ヨガ 呼吸」について、以下の文献リビューが報告されています。
クスマノ(1990)は,ヨガについて「感情と気分に良い影響を与える。正しい呼吸によって体の中の感情の流れはよくなり,ストレッチングによって筋肉の緊張感はとかれ,よりよい気分状態になるのである」と主張しているが,多くの研究が彼の主張を支持している。ヨガは,体の弛緩,免疫機能など身体機能の活性化,不安の軽減,集中力向上など,さまざまな身体的・心理的効果があることが観察されている。
公開:2008年9月
大阪経大論集
古宮 昇
上記の論文にもあるように、ヨガを通して「感情と気分に良い影響を与える」と研究主張者が多く、心身ともにリフレッシュ効果が期待できます。
ぜひ呼吸も意識しながらヨガを行いましょう。
また、ダウンドッグは、朝に行うヨガポーズとしてもおすすめです。
寝ている間のカラダの緊張をゆっくり伸ばし、目覚めをすっきりさせる効果があると言われています。
朝ヨガにおすすめポーズをいくつか紹介していますので、こちらの記事も参考にしてみてください。
応用編
他にもダウンドッグを応用したやり方をご紹介します。
負荷を軽減したポーズから、強化に特化したポーズなど様々なポーズがあります。
目的に合わせて試してみてください。
応用①片脚を引き寄せるダウンドッグ
体幹の強化に特化したポーズであり、腰回りも同時に鍛えることができます。

片脚を引き寄せるダウンドッグ
姿勢 |
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方法 | 通常のダウンドッグと同様
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回数 | 片脚3~5呼吸ずつ |
ポイント |
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効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
応用②ワンレッグ・ダウンドッグ
下半身の引き締めを重視した応用ポーズになります。
もちろん全身のストレッチ効果もありますよ。

ワンレッグ・ダウンドッグ
姿勢 |
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方法 | 通常のダウンドッグと同様
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回数 | 片脚3~5呼吸ずつ |
ポイント |
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効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
応用③片手・片脚ダウンドッグ
全身のバランス感覚を養い、体幹の強化に効果的です。
姿勢 |
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方法 | 通常のダウンドッグと同様
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回数 | 片手片脚3~5呼吸ずつ |
ポイント |
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効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
応用④ダウンドッグができない方向け
膝を下に曲げたダウンドッグ
体が硬くて背骨がまっすぐ伸ばしきれない方や、特に腰回りが硬い方に向けた負荷を軽減したポーズになります。
こちらのヨガジャーナルでもバリエーションとして紹介されているポーズです。

膝を下に曲げたダウンドッグ
姿勢 |
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方法 | 通常のダウンドッグと同様
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回数 | 3~5呼吸 |
ポイント |
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効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
安全と注意事項
ダウンドッグは、すべてのレジスタンスエクササイズと同様に、効果と安全性のために正しいフォームとテクニックを必要とします。
次の安全と注意事項は、ダウンドッグを正しく行い、怪我のリスクを減らすのに役立ちます。
- 手首・肘・肩を痛めている方、トラブルを抱えている場合は無理に行わないでください。
- 頭に痛みや違和感を感じる場合は中止してください。
- コツや軽減法を参考にしながら、角度を緩めたり、見直してください。
- 無理にポーズを完成させようとせず、ご自身の体と相談しながら行ってください。
- 体に負担がかかりすぎないように長時間は行わないようにしてください。
- ヨガは他人と比べるものではありません。ご自身のペース、呼吸でリラックスして行いましょう。
- ダウンドッグ中に痛みや不快感を感じる場合は、すぐに運動を中止してください。
- ダウンドックを行ってよいかどうか不安を感じる場合は、ご自身で判断せず、かかりつけ医にご相談ください。
- ヨガマットの使用をおすすめします。
- 場合によってはヨガブロックの使用をおすすめします。
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