【名称】薄筋
【よみ】はっきん
【英語名称】Gracilis muscle
薄筋は、大腿の内側に位置している筋肉で、恥骨筋や長内転筋、短内転筋、恥骨筋などと合わせて内転筋群を構成しています。
この筋肉は長い帯状をしているのが特徴で、太腿を覆っている筋肉の中では最も骨に近い内側の部分にあり、皮膚の上から指で触れて位置や動きを触診することは、簡単ではありません。
目次
薄筋とは
薄筋は、大腿部や股関節の内旋や内転、屈曲に関与しています。
内転筋群(長内転筋、大内転筋、短内転筋など)の中では唯一の二関節筋で、股関節と膝関節という二つの関節をまたいでいるのが特徴です。
日常生活においては、この筋肉だけではなく内転筋群全体はあまり使う機会は多くありません。
そのため、普段から意識してストレッチをしたり、トレーニングマシンを使って効率的なトレーニングをするのがおすすめです。
ちなみにスポーツにおいては、乗馬や水泳の平泳ぎで足を開閉する際によく使われる筋肉です。
普段ストレッチをせずにこうしたスポーツをすると、股関節や膝関節にトラブルが起こりやすくなるので注意しましょう。
薄筋の解剖図を動画で簡単解説
【消音】タップして動画を見る(#87)
薄筋の位置(起始停止)
薄筋は、恥骨結合の前面すぐ下にある恥骨弓の上の部分から、脛骨の内側面にかけて伸びています。
太腿の内側を走る筋肉は他にもありますが、この筋肉は最も骨に近い部分を通るインナーマッスルです。
縫工筋の後ろ側を添うように伸びていて、縫工筋と半腱様筋とともに鷲足を形成しています。
この筋肉は、大体の内側にあり、恥骨から5cm~7cmほど下の部分で触診できます。
大腿部の辺りでは、ハムストリングなど別の筋肉の内側に位置するため、触診するなら関節に近い位置が狙い目です。
起始 | 恥骨結合下方の恥骨下枝 |
停止 | 脛骨粗面内側に鵞足(浅鵞足)となり付着 |
神経 | 閉鎖神経(L2、L3) |
作用 | 股関節(大腿)の屈曲、内旋、内転 |
薄筋の作用
この筋肉は、股関節と膝関節の両方をまたがっているのが特徴です。
そのため、股関節の動きだけでなく、膝関節の動きにも大きく関与しています。
股関節の動きに関しては、内転したり屈曲させる際に作用しますし、膝関節を屈曲させたり膝から下の下腿部を内旋させる際にも働きます。
股関節内転における可動域は、通常では0°~30°程度で、股関節の背面にある三角形をした坐骨大腿靭帯がストッパーの役割りをしています。
また、股関節の内旋可動域は0°~45°程度、膝関節の屈曲では0°~140°までの稼働が可能です。
日常生活においてはあまり使う機会がない筋肉ですが、骨盤を安定させる役割があります。
できるだけ意識してストレッチやトレーニングすることをおすすめします。
この筋肉は、単体で作用するわけではなく、体の動きに合わせて周囲の筋肉と共に作用します。
例えば股関節を内転する動作では、内転筋や恥骨筋と共に作用します。
ハムストリングス
また、膝を曲げるという屈曲動作では、ハムストリングのように大きな筋肉と共に作用します。
そのためストレッチをする際には、特定の筋肉を意識するというよりも、股関節全体をストレッチするように心がけると良いでしょう。
北野 優旗
では、さっそく薄筋のストレッチを行ってみましょう!
薄筋のストレッチのやり方
動画で分かりやすくストレッチ方法を解説
内ももを伸ばして、股関節の可動域を広げる方法
【消音】タップしてストレッチ動画を見る (#Q_IMG_3122)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
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股関節の内転筋群鍛えながらストレッチ
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#36)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 #薄筋 #長内転筋 #大内転筋 #短内転筋 |
片脚ずつ丁寧に薄筋を伸ばすストレッチ
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#109)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右15回×2セットずつ(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
誰でも簡単にできる開脚ストレッチ
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#94)
姿勢 |
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方法 | |
回数 | 左右15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
薄筋のストレッチ効果
薄筋をストレッチすることは、下半身を安定させたり足の可動域を広げる効果が期待できます。
この筋肉は、日常生活の中における動作ではあまり使う機会が少ないという特徴もあります。
しかし、使わないからと言って放置していると、股関節や膝関節の可動域が小さくなり、躓きやすくなったり、転びやすくなってしまいます。
そのため、普段の生活の中ではできるだけ意識したストレッチをするのがおすすめです。
アスリートの場合には、太腿の内側に負荷をかけるトレーニングを行ったあとにクールダウンで薄筋のストレッチを取り入れると良いでしょう。
内ももがほぐれ開脚がしやすくなる
この筋肉をストレッチすると、太腿の内側がほぐれて可動域が広がります。
開脚をすると、これまでよりも足を開きやすくなりますし、太腿の内側の筋肉がピリピリ硬いなぁと感じることが起こりにくくなるでしょう。
この筋肉をストレッチする際には、ハムストリングなど下半身の中でも大きな筋肉を同時にトレーニングできるため、下半身全体を引き締める効果もあります。
その他には、股関節を内転させる力がアップすることによって、O脚を自然に改善する効果も期待できます。
膝が安定する
薄筋をストレッチすることは、膝関節を安定させる効果が期待できます。
この筋肉は内転筋群の一つに分類できますが、股関節から膝関節をつないでいる筋肉で、股関節だけではなくて膝の安定にも大きく関与しています。
そのため、ストレッチすることによって太腿を動かす際にはアシスト的な役割をしたり、ランニングなどで足が地面に着地する際には、膝関節のクッション的な役割もしています。
ランニングをする事で膝関節にトラブルが起こりやすい人なら、この筋肉を効率的にストレッチしてあげるのがおすすめです。
薄筋ストレッチのまとめ
薄筋は、股関節から膝関節にまたがって伸びている二関節筋で、太腿の内側を走る筋肉の中では最も骨に近い部分を通るインナーマッスルです。
ストレッチすることによって足の可動域が広がり、開脚しやすくなる効果が期待できます。
内転筋のストレッチだけでなく鍛え方や太ももの痩せ方が知りたい方は、
こちらの記事「内ももに隙間を作る内転筋エクササイズプログラム」も参考になると思います。
ぜひ合わせて読んでみてください。
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