片手腕立て伏せの基本的な方法と正しいフォーム・効果を高めるやり方のコツ・安全と注意事項・応用編(他の方法・初心者・女性でもできる方法)について詳しく解説していきます。
また片手腕立て伏せは別名ワンアームプッシュアップ(one arm push up)とも言われ、本記事では名前を統一して、「片手腕立て伏せ」で解説していきます。
SNSやブログ等で紹介してもらえるとうれしいです。
片手腕立て伏せは、名前からも分かるように通常の腕立て伏せを片手で行うものです。自重で行うトレーニングとしては強力なもので、大きな筋肉を付けるのに役立ちます。特に厚い胸を作るのに役立つトレーニングですし、初心者ではこのトレーニング自体できないので、一つの目標としたいメニューです。
基本的な方法
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基本的な方法として、通常の腕立て伏せを片手で行います。
といっても、単に片手を上げるだけではできないのでコツが必要です。
通常の腕立て伏せは4点で体を支えることができますが、こちらは3点でしか体を支えられません。
そこで、うまく重心を取ることと、下半身を含めて強い筋力が必要とされます。
スタートポジション
片手腕立て伏せをうまく行うには、スタートポジションが非常に重要です。
まずは、普通に両手を使って四つん這いになります。
その際、手は通常の腕立て伏せのように肩幅より広くするのではなく、肩の真下に置きます。
足は広く開いて、50センチ以上は広げるようにします。最初はうまくバランスが取れないので、調整をしながら安定する位置まで広げて構いません。
もし、普通に開くだけではグラグラするようなら、片足を少し上半身側に持ってくることもできます。
そして、片手を床から離して背中側に持って行き背中にくっつけます。
この際、肘をある程度曲げた方が重心を取りやすくなります。頭は真下よりも少し斜め上を向きます。
手を挙げた方向に首を傾ける方が重心が取りやすいという方もいます。
このあたりは、実際に頭を動かしながら安定する位置を見つけると良いでしょう。
動作手順
安定感のあるスタートポジションが取れていることを確認したら、ゆっくりと床に付いている方の手の肘を曲げます。
通常の腕立て伏せのように地面スレスレまで体を落とす必要はありません。
20センチくらい下げることができたら十分です。
その後、肘を伸ばして元の姿勢に戻していきます。これを繰り返して行います。
呼吸
肘を曲げて体を床に近づける時にゆっくりと息を吸っていきます。
そして、体を起こすときに息を吐きます。体の安定性に意識が集中しますし、結構キツイ動きなのでついつい呼吸のことを忘れがちです。
効果をしっかりと出すにはゆっくりと深い呼吸をしなければなりませんので、呼吸にも意識を向けましょう。
回数・セット数
無理なく続けられる回数を1セットとしましょう。最初は数回でも良いですが、目標としては20~30回を1セットとして、3セットです。
正しいフォームを意識して徐々に慣れていくことが大切ですので、無理をせずに回数を少なくしてください。
慣れてきたら、以下のように「総負荷量」で筋肥大を目指しましょう。
ちなみにですが、私の場合ですと片手腕立て伏せは、以下のような総負荷量の回数でセットを組んでいます。
中級者以上の参考「総負荷量」 (回数・重量・セット数) | |
1セット | 12RM |
2セット | 9RM |
3セット | 6RM |
4セット | 3RM |
5セット | 6RM |
6セット | 18RM |
※「RM」とはRepetition Maximum(最大反復回数)の略語。
ある一定の重さに対し、何回反復できるかにより、自分の限界となる運動強度を判断する方法。
セット間のインターバル休憩時間については、こちらの記事も参考にしてください。
筋トレの頻度は週2を目安に行うことで筋肥大効果が得られます。
片手腕立て伏せの回数の目安
それぞれ、以下のレベルの人を対象して、重量の目安表を示します。
- 初心者:1ヶ月以上トレーニングした人
- 初級者:6ヶ月以上トレーニングした人
- 中級者:2年以上トレーニングした人
- 上級者:5年以上トレーニングした人
- エリート:アスリート
なお、こちらのデータは海外のサイト「STRENGTH LEVEL (強度レベル)」を参照しました。また、こちらの数値は正しいフォームで1回だけ得られる値を示しています。
自分の体重とウェイトトレーニングの経験から、片手腕立て伏せ回数の目安がわかります。
男性の体重別片手腕立て伏せ基準(kg)
体 重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
50 | < 1 | < 1 | 8 | 25 | 47 |
55 | < 1 | < 1 | 9 | 26 | 46 |
60 | < 1 | < 1 | 9 | 26 | 46 |
65 | < 1 | < 1 | 10 | 27 | 45 |
70 | < 1 | < 1 | 11 | 27 | 45 |
75 | < 1 | < 1 | 11 | 27 | 44 |
80 | < 1 | < 1 | 11 | 26 | 43 |
85 | < 1 | < 1 | 11 | 26 | 42 |
90 | < 1 | < 1 | 12 | 26 | 41 |
95 | < 1 | < 1 | 12 | 25 | 41 |
100 | < 1 | 1 | 11 | 25 | 40 |
105 | < 1 | 1 | 11 | 25 | 39 |
110 | < 1 | 1 | 11 | 24 | 38 |
115 | < 1 | 1 | 11 | 24 | 37 |
120 | < 1 | 1 | 11 | 23 | 36 |
125 | < 1 | 1 | 11 | 23 | 36 |
130 | < 1 | 1 | 11 | 22 | 35 |
135 | < 1 | 1 | 10 | 22 | 34 |
140 | < 1 | 1 | 10 | 21 | 33 |
女性の体重別片手腕立て伏せ基準(kg)
体 重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
40 | < 1 | < 1 | < 1 | 14 | 41 |
45 | < 1 | < 1 | < 1 | 19 | 46 |
50 | < 1 | < 1 | 2 | 23 | 49 |
55 | < 1 | < 1 | 6 | 26 | 52 |
60 | < 1 | < 1 | 8 | 29 | 54 |
65 | < 1 | < 1 | 10 | 31 | 55 |
70 | < 1 | < 1 | 12 | 32 | 56 |
75 | < 1 | < 1 | 13 | 34 | 57 |
80 | < 1 | < 1 | 15 | 35 | 57 |
85 | < 1 | 1 | 16 | 35 | 57 |
90 | < 1 | 2 | 17 | 36 | 57 |
95 | < 1 | 3 | 18 | 36 | 57 |
100 | < 1 | 4 | 18 | 37 | 57 |
105 | < 1 | 5 | 19 | 37 | 56 |
110 | < 1 | 6 | 19 | 37 | 56 |
115 | < 1 | 6 | 20 | 37 | 55 |
120 | < 1 | 7 | 20 | 37 | 55 |
片手腕立て伏せの効果を高めるコツ
非常に負荷のかかる片手腕立て伏せですので、普通にやるだけでもしっかりとした効果が出ます。
さらにポイントを押さえて実施することで、効果を最大にできます。また、安全に運動する上でも重要なポイントですので、事前に確認しておきましょう。
コツ①重心の置き方
筋力が求められるトレーニングですが、同じくらい重心コントロールも必要です。
ちょっとした体重のかけ方で転んでしまいますので、注意が必要です。
重心をかける位置は、体を支えている腕の方です。
そのため、上げている方の肩を上に向けるようにして、重心がそちらに行かないようにします。
少しでもバランスが崩れて、上げている腕の方に重心が行くと転倒のリスクが高まります。
コツ②手のひらの向き
上記の重心のかけ方とも関係するのですが、床に付いている手のひらは真っすぐ頭の方を向くようにします。
外や内側を向いていると、重心が横にブレるので安定感がなくなってしまいます。
また、負荷が大きく関節にかかるようになり、手首を痛める原因となってしまいます。
もし、トレーニングをしていて手首が痛くなってきたら、手の向きがおかしくなっていないかを確認しましょう。
コツ③背筋は真っすぐにキープ
重心を取るため、また体を起こすのがきついのをカバーするために、腰が上がって「く」の字になってしまうことがあります。
これだと胸と腕の筋肉ではなく、上半身から腰にかけての力で体を引き起こす形になります。
また、無理な体勢となって腰を痛めることもあります。
そのため、スタートポジションの際に背筋が真っすぐになっていること、極端に腰が丸まっていたり、逆に反り腰になったりしていないことを確認しましょう。
体を起こすときに腰が曲がりやすくなるので、その時にも注意します。
通常の腕立て伏せとの違い
通常の腕立て伏せは両手で行うので、当然一回ごとの運動でかかる負荷が大きく異なります。
また、単純に片手で行うというよりも、体幹をしっかりと使ってバランスを取ることを意識しながら行います。
そのため、通常の腕立て伏せとは違う角度で筋肉に刺激を加えられます。
体のバランス感覚を養う上でも片手腕立て伏せの方が優れているので、他のトレーニングの効果を上げるのにも役立つでしょう。
ただし、安全性という意味では両手の腕立て伏せの方が安全です。
初心者や筋力の少ない方は、しっかりと通常の腕立て伏せができるようになってからチャレンジした方が良いです。
効果と発達する筋肉部位
片手腕立て伏せによって発達する筋肉部位を確認しましょう。同時に生まれる効果を知ることにより、このトレーニングにチャレンジしてみたいというモチベーションを得られるでしょう。
肥大化部位大胸筋や上腕三頭筋が発達する
胸の正面の大きな筋肉である大胸筋や三角筋(前部)、そして腕の力こぶの部分である上腕三頭筋を鍛えることができます。
角度が付いた状態で腕立て伏せをするので、胸筋の右上から中央にかけてを刺激できるトレーニングです。
上腕三頭筋の機能について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考に読んでみてください。
効果①大きな胸板を作れる
負荷が強くかかるため、筋肥大に適したトレーニングです。大胸筋はとても大きな筋肉で、強い負荷をかけることでぐっと厚みが出てきます。
たくましい広くて厚い胸板を作るためにとても効果的で、頑張った結果を確認しやすい筋トレとなります。
また、通常の腕立て伏せと異なる角度から刺激を与えられるので、停滞期で筋肉が付きにくくなっている時に行うと、新たな刺激となりステップアップできます。
効果②満足感が強い
片手腕立て伏せは、誰でもできるトレーニングではありません。正しいフォームを覚えて、体幹とバランス力をしっかりと高めていること、そしてそもそもある程度強い筋力がないとできません。この筋トレができるということ自体、しっかりとした体になっている証拠で満足感を与えるものとなります。気持ちを高めることは、トレーニングを続ける上でも、さらにメニューを増やしていくためにも重要な要素ですので、他のトレーニングにも良い影響を与えるはずです。
効果③体脂肪を減らせる
大胸筋は面積が広い部位で、この筋トレによって効率よく使えますし発達させられます。その分、代謝量がアップして脂肪燃焼の効率を高めてくれます。体脂肪を落としてよりキレた体にするのにとても効果があるのです。
応用編
片手腕立て伏せを応用したやり方もご紹介します。
大胸筋や上腕三頭筋を違った角度で攻めたい方はぜひこちらのトレーニング種目も参考にしてみてください。
また、女性や初心者で筋力がない方でも行える大胸筋の鍛え方もあります。
応用①ノーマルプッシュアップ|基本腕立て伏せ(大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部)
基本的なプッシュアップ(腕立て伏せ)のやり方を解説します。
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 15回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
応用②ナロープッシュアップ|自重で上腕三頭筋・大胸筋の内側を鍛える
ナロープッシュアップは、肩幅より狭く手の位置を置いて行うプッシュアップ(腕立て伏せ)です。
特に大胸筋の内側を鍛えるのに最適な自重トレーニングです。
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
応用③逆立ち腕立て伏せ(上腕三頭筋)
逆立ち腕立て伏せ(Handstand Push Ups)は、倒立(逆立ち)した状態で、自分の体重を負荷にしてプッシュアップする自重の筋トレです。
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当筋トレ効果のある筋肉各種 |
応用④デクラインプッシュアップ|自重で立体感のある大胸筋作り
脚の位置を高くしたプッシュアップ(腕立て伏せ)です。
脚を高くすることにより、自重の負荷が高まり、肩、腕、胸をより強度に鍛えることができます。
デクラインプッシュアップができるようになれば、逆立ち腕立て伏せにもチャレンジできます!
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
応用⑤ヒンズープッシュアップ|自重で大胸筋を鍛える
体幹や動きのバランスを鍛えながらプッシュアップを行います。
逆立ち腕立て伏せは体幹のバランス力が大切です。そのためにヒンズープッシュアップも合わせて行ってみましょう。
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
応用⑥バランスボールを使って体幹プッシュアップ
バランスボールに足をのせてデクラインプッシュアップです。
さらに体幹バランス力を養うことができる自重トレーニングです。
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#Q_IMG_3634)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 15回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
応用⑦初心者や女性向け|バランスボールを寄せてプッシュアップ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_IMG_3602)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
おすすめの器具
片手腕立て伏せを行うにあたって以下の器具が必要です。
その中でも私が使ってよかったと実感している器具を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
片手腕立て伏せで必要な器具 | |
トレーニングマット
トレーニングを行う際は、トレーニングマットの使用をおすすめします。
片手腕立て伏せは重心のコントロールが難しく、特に最初はコツが掴みにくいと思います。
汗などによる滑りを防止してくれたり、万が一転倒してしまってもトレーニングマットが衝撃を緩和して怪我を最小限に抑えてくれるでしょう。
なにより安心してトレーニングに集中できます。
片手腕立て伏せだけでなく、ほかのさまざまな筋力トレーニングにも役に立ちます。
自宅ジムをする方にはマストアイテムですね。
トレーニング後のケア
トレーニング後は、ストレッチケアも欠かさず行いましょう。
疲労を残さないことが、長く続けられる秘訣です。
ケア方法として、マッサージとストレッチの順番もポイントです。
基本的にマッサージを行ってから、ストレッチをした方が筋肉はほぐれます。
筋力トレーニングで縮んだ筋肉をいきなり伸ばすより、手でマッサージをしたり、フォームローラーを利用してほぐしてからゆっくりストレッチで伸ばしていきましょう。
今回ご紹介したトレーニングは、主に【腕】の筋肉です。
片手腕立て伏せをした後の上腕三頭筋をしっかりケアしておきましょう。
腕のケア①上腕三頭筋の筋膜リリース!二の腕をローラーストレッチでほぐす
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_1076)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
北野 優旗
セルフでほぐすのにはグリッドフォームローラーがおすすめです!
カラダの部位に合わせていろいろな使い方ができて、気持ちいいです!
背中をほぐす筋膜リリース
使い方、特徴、機能性など、もっと詳しく商品を知りたい方は、下のページで紹介していますので、参考に読んでみてください↓↓↓
腕のケア②壁を使って上腕三頭筋、上腕筋を伸ばす二の腕ストレッチ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#84)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 片側10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
胸のケア③上腕筋、上腕二頭筋、大胸筋、小胸筋を伸ばして肩も胸もほぐすストレッチ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#71)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
安全と注意事項
片手腕立て伏せは、すべてのレジスタンスエクササイズと同様に、効果と安全性のために正しいフォームとテクニックを必要とします。
次の安全と注意事項は、片手腕立て伏せを正しく行い、怪我のリスクを減らすのに役立ちます。
- 初心者の方は、特に安全面を考慮して回数を減らすなど調節してください。
- 重心をコントロールして、転倒しないように注意します。
- 手首に負担や違和感があるようなら休憩するか、その時点でストップしましょう。
- 動きを制御し、反動をつけて行わないようにします。ゆっくりと集中してエクササイズを行います。
- 片手腕立て伏せ中に痛みや不快感を感じる場合は、運動を中止してください。
- 汗などで滑らないように、トレーニングマットを使用することをおすすめします。
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