インクラインダンベルフライ
Incline dumbbell fly
【概要】 | |
別名 インクラインチェスト(Incline chest)またはペックフライ(Peck fly) | |
ターゲット 大胸筋上部、三角筋前部、上腕二頭筋 | |
レベル 初級から中級 | |
必要器具
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基本的なやり方と正しいフォーム・やり方のコツ・安全と注意事項・応用編(他の方法・初心者・女性でもできる方法)について詳しく解説していきます。
SNSやブログ等で紹介してもらえるとうれしいです。
基本的なやり方
タップしてフィットネス動画を見る
インクラインダンベルフライは、ベンチとダンベルがあれば自宅でもできるトレーニングです。
気軽にできるのがメリットですが、一方で、ちょっとしたやり方の違いで効果がアップしたり、逆に意味のないものになってしまったりします。
フォームと動作の正しいやり方をチェックしてみましょう。
スタートポジション
ベンチは30度から45度くらいの角度を付けて、体がずり落ちないように足で支えます。
この角度によって鍛えられる筋肉部分が変わってきますが、最初は無理なくできるように、浅い角度から始めると安全です。
ベンチ台の角度によって鍛えられる部位については、下記の【応用編】でご紹介します。
まずは、インクラインダンベルフライの基本からご紹介します。
ダンベルは両手で、二つが平行になるように持ちます。
この時、胸の上にダンベルが来るようにします。
動作手順
- 胸のところにあるダンベルを天井に突き上げるように持ち上げます。
- この際、体の中心に寄せるようにダンベルを持っていくこともできます。
- 胸を閉じるような感覚で動かすと、大胸筋の上部を鍛えられます。
- その後、ゆっくりとダンベルを下ろすのですが、肘の100~120度の角度をキープしたまま下ろすようにします。
- これを10回×3セット(初心者)
呼吸
ダンベルを上げる時に息を吐き、下ろす時に吸うように意識します。
きつくなってくると呼吸の意識が薄れますので、あえて口をすぼめるようにして、呼吸のことを忘れないというのも心がけておくと良いでしょう。
回数・セット数・重量
初心者の方は、上げ下げを10回するのを1セットとします。これを3セット行います。
ただし、ダンベルの重量とのバランスもありますので、初心者の方はきつさを感じたら回数を少なくして、フォームを意識して徐々に慣れさせることも大事です。
慣れてきたら、「総負荷量」で筋肥大を目指しましょう。
ちなみにですが、私の場合ですとインクラインダンベルフライは、以下のような総負荷量の回数でセットを組んでいます。
中級者以上の参考「総負荷量」 (回数・重量・セット数) | |
1セット目 | 12RM |
2セット目 | 9RM |
3セット目 | 6RM |
4セット目 | 3RM |
5セット目 | 6RM |
6セット目 | 18RM |
※「RM」とはRepetition Maximum(最大反復回数)の略語。
ある一定の重さに対し、何回反復できるかにより、自分の限界となる運動強度を判断する方法。
北野 優旗
私は、この総負荷量の回数、セット数がいつもしっくりきます。
6セット目の追い込み回数18が自分のハートと肉体の限界に挑戦できて追い込んだ総負荷量を実現します。
セット間のインターバル休憩時間については、こちらの記事も参考にしてください。
インクラインダンベルフライの重量の目安
それぞれ、以下のレベルの人を対象して、重量の目安表を示します。
- 初心者:1ヶ月以上トレーニングした人
- 初級者:6ヶ月以上トレーニングした人
- 中級者:2年以上トレーニングした人
- 上級者:5年以上トレーニングした人
- エリート:アスリート
なお、こちらのデータは海外のサイト「STRENGTH LEVEL (強度レベル)」を参照しました。また、こちらの数値は正しいフォームで1回だけ挙げられる最大重量(1RM)を示しています。
自分の体重とウェイトトレーニングの経験から、インクラインダンベルフライ重量の目安がわかります。
男性の体重別インクラインダンベルフライ基準(kg)
ダンベルの重量は1つのダンベル用で、バーの重量を含みます。通常は2 kg /4.4lbです。
体 重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
50 | 3 | 8 | 16 | 26 | 39 |
55 | 4 | 9 | 18 | 29 | 42 |
60 | 5 | 11 | 20 | 31 | 45 |
65 | 6 | 12 | 21 | 34 | 48 |
70 | 6 | 13 | 23 | 36 | 50 |
75 | 7 | 15 | 25 | 38 | 53 |
80 | 8 | 16 | 27 | 40 | 55 |
85 | 9 | 17 | 28 | 42 | 58 |
90 | 10 | 18 | 30 | 44 | 60 |
95 | 11 | 20 | 31 | 46 | 62 |
100 | 12 | 21 | 33 | 47 | 64 |
105 | 13 | 22 | 34 | 49 | 66 |
110 | 14 | 23 | 35 | 51 | 68 |
115 | 14 | 24 | 37 | 52 | 70 |
120 | 15 | 25 | 38 | 54 | 72 |
125 | 16 | 26 | 39 | 55 | 73 |
130 | 17 | 27 | 41 | 57 | 75 |
135 | 18 | 28 | 42 | 58 | 77 |
140 | 18 | 29 | 43 | 60 | 78 |
女性の体重別インクラインダンベルフライ基準(kg)
ダンベルの重量は1つのダンベル用で、バーの重量を含みます。通常は2 kg /4.4lbです。
体 重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
40 | 2 | 5 | 10 | 16 | 25 |
45 | 2 | 5 | 11 | 18 | 26 |
50 | 2 | 6 | 11 | 19 | 27 |
55 | 3 | 7 | 12 | 20 | 29 |
60 | 3 | 7 | 13 | 21 | 30 |
65 | 4 | 8 | 14 | 22 | 31 |
70 | 4 | 8 | 15 | 23 | 32 |
75 | 4 | 9 | 15 | 23 | 33 |
80 | 5 | 9 | 16 | 24 | 34 |
85 | 5 | 10 | 16 | 25 | 35 |
90 | 5 | 10 | 17 | 26 | 36 |
95 | 6 | 11 | 18 | 26 | 36 |
100 | 6 | 11 | 18 | 27 | 37 |
105 | 6 | 11 | 19 | 28 | 38 |
110 | 6 | 12 | 19 | 28 | 39 |
115 | 7 | 12 | 20 | 29 | 39 |
120 | 7 | 13 | 20 | 30 | 40 |
インクラインダンベルフライの効果を高めるコツ
インクラインダンベルフライは簡単そうに見えるトレーニングで、誰でもすぐに見よう見まねでできます。
しかし、きちんとコツを押さえておかないと、せっかくのトレーニングの効果が下がってしまうこともあります。
肘の動きといったフォームには気を付けましょう。
コツ①肘は100~120度軽く曲げる
肘は常に曲げた状態で、ダンベルを上げ下げする必要があります。
下げたときに100~120度の角度をキープすることでで腕や肩に余分な負担がなく、大胸筋にピンポイントで鍛えることが出来ます。
上げ切った時も肘が伸ばしてしまうのではなく、軽く曲がった状態で終わりにします。
肘が伸び切ると、そこで重量の負荷が筋肉にかからなくなってしまうからです。
そして、その伸びた状態でダンベルを下げると、余計なところに負荷がかかります。
本来、インクラインダンベルフライは大胸筋を狙ったトレーニングなのですが、肩や腕に効いてしまい、意味がなくなります。
必ず肘は曲げて、胸筋の収縮を意識して動かしましょう。
コツ②肩甲骨を寄せるイメージ
動きを大きく取ることが、インクラインダンベルフライの効果を高めるコツです。
胸を動かす意識は大事なのですが、それだけでなく、肩甲骨を寄せているイメージを持つことや、肘を体の下まで下げて、大胸筋の奥まで効かせることが重要です。
そのためにも、床に寝て行うよりも、ベンチで肘をさらに下に持っていける状態にすることが求められるわけです。
しっかり肩甲骨を寄せ合うことで関節の可動域が広く、筋肥大効果を高めることもできます。
効果と発達する筋肉部位
インクラインダンベルフライは、狙う筋肉がピンポイントで定まっているので、目的意識がはっきりしやすいです。
その効果をチェックしてみましょう。
肥大化部位大胸筋(上部)が発達
胸の大きな筋肉である大胸筋を鍛えるのに、とても優れた方法です。
主に、大胸筋上部を鍛えるトレーニングに適しています。
大胸筋全体を動かせますし、深部まで効かせられますので、厚みのある筋肉を作りやすいです。
また、大胸筋以外にも三角筋前部、上腕二頭筋など肩や腕も同時に鍛えることができます。
大胸筋の機能について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考に読んでみてください。
効果①胸板が厚くなる
大胸筋が発達すると、明らかに胸板が厚くなり、たくましい胸というイメージが出てきます。
また、大きな筋肉ですし、目線の位置にあるものですので、体作りが進んでいることを実感しやすいというのもメリットです。
さらにトレーニングを進めていくためのモチベーションを得やすいわけです。
効果②大胸筋(上部)にピンポイント
大胸筋を鍛えるトレーニングはいろいろありますが、一緒に腕や肩回りの筋肉を動かしてしまい、効果が薄れてしまうものもあります。
その点、インクラインダンベルフライは、肘の曲げに注意していれば、ピンポイントで大胸筋上部を狙えます。
目的意識を持ってトレーニングをするのに、とても良い方法と言えるでしょう。
応用編
他にも大胸筋群を鍛える方法はあります。
インクラインダンベルフライを応用したやり方もご紹介します。
大胸筋上部だけでなく、中部、下部もダンベルフライで鍛えることが出来ます。
また、女性や初心者で筋力がない方でも行える鍛え方もあります。
応用①フラットダンベルフライ(大胸筋中部)
ベンチ台をフラットにさせてダンベルフライをおこないます。
大胸筋全体を鍛える際に適したトレーニングです。
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×3セット (初心者向け) |
ポイント |
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効果 |
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応用②デクラインダンベルフライ(大胸筋下部)
頭側が低くなるようにベンチ台に傾斜をつけて行うダンベルフライです。
主に大胸筋下部をメインで鍛えるのに最適なトレーニングです。
姿勢 |
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方法 | インクラインダンベルフライと同様
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回数 | 10回×3セット (初心者向け) |
ポイント |
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効果 |
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応用③フロアーダンベルフライ
フラットな床で行うダンベルフライです。
ベンチ台がなくても、大胸筋全体を鍛えることができます。
姿勢 |
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方法 | インクラインダンベルフライと同様
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回数 | 10回×3セット (初心者向け) |
ポイント |
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効果 |
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応用④インクラインダンベルフライが
できない初心者や女性向け
1~2kgの軽量ダンベルでフロアーダンベルフライ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_IMG_3699)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
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女性にとって大胸筋を鍛えるはバストアップにつながります。
女性向けバストアップする大胸筋を鍛え方はこちらの記事で紹介しています。
おすすめの器具
インクラインダンベルフライを行うにあたって以下の器具が必要です。
その中でも私が使ってよかったと実感している器具を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ダンベル
ダンベルは、重さが固定式のダンベルと可変式ダンベルがあります。
私が使用しているのは、可変式ダンベルです。
インクラインダンベルフライは、ダンベルベンチプレスより軽い重量で筋トレすることになります。
また部位や方法によって重さが変わり、複数の重さが必要になります。
上記で説明した「総負荷量」トレーニングにおいても重量負荷の増減は欠かせません。
そこで便利なのが可変式ダンベルです。
可変式のダンベルは簡単に重さを調節でき、複数のダンベルを置く必要がないので省スペース・省コストです。
自宅ジムをする方にはおすすめのダンベル器具です。
可変式ダンベルのおすすめも下の記事で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
インクラインベンチ
ベンチ台もインクラインベンチが便利です。
ベンチ台の角度が調節できる方が汎用性があり、さまざまなトレーニングに活かすことができます。
デクラインダンベルフライ・デクラインベンチプレスのような下に傾斜をつけて、大胸筋下部をピンポイントに鍛えることができます。
自宅ジムをする方には下へ傾斜ができるインクラインベンチ台は、必須ですね。
筋トレのバリエーションが増えるおすすめのインクラインベンチも下記の記事で紹介していますので、
インクラインベンチを使ってみて選び方や使い方、商品の解説までこちらもチェックしてみてください。
グリップグローブ
器具を使う際に、グローブの着用を推奨しています。
グリップグローブは器具との滑りを防止してくれるため、安全に筋トレに励むことができます。
また、グリップ力が高いグローブをつけることで、余分な握力を使わず、狙った筋肉へトレーニングすることができます。
そして、何より手の平を守ってくれます。
グリップグローブを使わずに、筋トレや鉄棒などを行っていると、マメが出来たり、指や手の平の皮が硬くなってしまいます。
安全性と機能性を考えてグリップグローブを使用した筋トレをおすすめします。
お手頃で丈夫なグリップグローブのおすすめも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
トレーニング後のケア
トレーニング後のストレッチケアも大切です。
疲労を残さないことが、長く続けられる秘訣です。
マッサージとストレッチの順番ですが、
基本的にマッサージを行ってから、ストレッチをした方が筋肉はほぐれます。
急に筋トレで縮んだ筋肉を伸ばすより、一旦、手でマッサージをしたり、フォームローラーを利用してほぐしてから、ゆっくりストレッチで伸ばしていきましょう。
今回ご紹介したトレーニングは、主に【胸】の筋肉です。
インクラインダンベルフライをした後の胸をしっかりケアしておきましょう。
胸のケア①ローラーを使って大胸筋の筋膜リリースほぐし
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_1074)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
北野 優旗
セルフでほぐすのにはグリッドフォームローラーがおすすめです!
カラダの部位に合わせていろいろな使い方ができて、気持ちいいです!
背中をほぐす筋膜リリース
使い方、特徴、機能性など、もっと詳しく商品を知りたい方は、下のページで紹介していますので、参考に読んでみてください↓↓↓
胸のケア②胸や肩の動きを良くする胸のマッサージ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#84)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右20秒ずつ×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) 反対側も同様に行いましょう |
ポイント | |
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
胸のケア③胸上部、肩、腕の筋肉をストレッチ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#108)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
安全と注意事項
インクラインダンベルフライは、すべてのレジスタンスエクササイズと同様に、効果と安全性のために正しいフォームとテクニックを必要とします。
次の安全と注意事項は、インクラインダンベルフライを正しく行い、怪我のリスクを減らすのに役立ちます。
- 初心者の方は、特に安全面を考慮して軽いダンベルから始めて、肩関節に不必要なストレスをかけないようにします。
- 胸を伸ばしすぎないように、ダンベルを下に落とし過ぎないようにしてください。上腕二頭筋等を効果的に機能させるために、適切な可動域を維持します。
- 肘をわずかに曲げて、適切な動きができるように肘をロックしたままにします。
- 動きを制御し、上に上げた際にダンベルをカチンと叩かないようにしてください。ゆっくりと集中してエクササイズを行います。
- ベンチ角度は最大45度までにしなければ、大胸筋ではなく、肩関節に負荷が来てしまいます。
- インクラインダンベルフライ中に痛みや不快感を感じる場合は、運動を中止してください。
- 汗などで滑らないように、グリップを使用するのがおすすめです。
- 反動をつけて持ち上げないように気を付けましょう。
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