インバーテッドロウ
Inverted row
【概要】 | |
別名 斜め懸垂、インバーテッドローイング(Inverted Rowing) | |
ターゲット メイン:広背筋 | |
レベル 初級から中級 | |
必要器具
|
インバーテッドロウ(斜め懸垂)鉄棒やチンニングバーを利用して、広背筋を中心に僧帽筋や上腕二頭筋といった背中を中心とした引く筋グループに効果がある自重トレーニングです。
女性や筋トレ初心者の方でも行いやすい筋トレの一つです。
インバーテッドロウの基本的な方法と正しいフォーム・効果を高めるやり方のコツ・安全と注意事項・応用編(他の方法・初心者・女性でもできる方法)について詳しく解説していきます。
またインバーテッドロウは別名斜め懸垂とも言われ、本記事では名前を統一して、「インバーテッドロウ」で解説していきます。
SNSやブログ等で紹介してもらえるとうれしいです。
目次
基本的な方法
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インバーテッドロウとは、体を斜めに仰向けにして行う懸垂です。
背中を鍛えられる自重トレーニングとしてはよく取り入れられている種目で、通常の懸垂に比べても比較的低負荷であるため、懸垂が苦手な人でも行えるのが特徴です。
バーなどを掴んで、自重を使って肘を曲げ伸ばしすることで、背中や腕の筋肉に負荷を与えます。
専用のチンニングバーがなくても、机やタオルなど、家の中にある道具を駆使することでトレーニングができるのも魅力です。
スタートポジション
まずは、懸垂のために掴む器具の下に入り込んで、仰向けになって器具を掴みます。
掴む幅は、肩幅よりやや広い部分で両手を伸ばして掴むようにしましょう。
この時、上半身を浮かせて足のみが地面に着いているような高さにする必要があるため、適宜調整しましょう。
両腕を伸ばした状態でも上半身が地面に着かず、下半身よりも高い位置にあればオッケーです。
この姿勢で両腕を伸ばした状態がスタートポジションになります。この時の身体の傾きは、30度が目安とされています。
身体に角度をつけるほど負荷も上がるため、慣れてきたら徐々に45度、50度と深く傾けるようにしていきましょう。
動作手順
- スタートポジションからそのまま肩甲骨を寄せるイメージで、肘を曲げながら身体を引き上げます。
- 器具に胸がつくまで身体を引き上げることができたら、肩甲骨をグッと寄せ切って背中の筋肉を収縮させましょう。
- その後はゆっくりと腕を伸ばして身体を元の位置まで戻します。この動作を繰り返しましょう。
呼吸
肘を曲げる時、つまり身体を引き上げる時に息を吐いて、肘を伸ばして身体をゆっくりと下げるときに息を吸いましょう。
この呼吸法を意識することで、身体を引き上げるときに腕に力を入れやすくなります。
回数・セット数・重量
回数は、1セット10回以上を目安に行いましょう。これを3セット続けられるように練習しましょう。
慣れてきたら、以下のように「総負荷量」で筋肥大を目指しましょう。
ちなみにですが、私の場合ですとインバーテッドロウは、以下のような総負荷量の回数でセットを組んでいます。
中級者以上の参考「総負荷量」 (回数・重量・セット数) | |
1セット | 12RM |
2セット | 9RM |
3セット | 6RM |
4セット | 3RM |
5セット | 6RM |
6セット | 18RM |
※「RM」とはRepetition Maximum(最大反復回数)の略語。
ある一定の重さに対し、何回反復できるかにより、自分の限界となる運動強度を判断する方法。
セット間のインターバル休憩時間については、こちらの記事も参考にしてください。
筋トレの頻度は週2を目安に行うことで筋肥大効果が得られます。
インバーテッドロウの重量の目安
それぞれ、以下のレベルの人を対象して、重量の目安表を示します。
- 初心者:1ヶ月以上トレーニングした人
- 初級者:6ヶ月以上トレーニングした人
- 中級者:2年以上トレーニングした人
- 上級者:5年以上トレーニングした人
- エリート:アスリート
なお、こちらのデータは海外のサイト「STRENGTH LEVEL (強度レベル)」を参照しました。
自分の体重とウェイトトレーニングの経験から、インバーテッドロウの目安がわかります。
男性の体重別インバーテッドロウ基準回数
体 重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
50 | < 1 | 3 | 16 | 34 | 54 |
55 | < 1 | 4 | 17 | 35 | 53 |
60 | < 1 | 5 | 18 | 34 | 52 |
65 | < 1 | 6 | 18 | 34 | 51 |
70 | < 1 | 7 | 19 | 34 | 50 |
75 | < 1 | 7 | 19 | 33 | 49 |
80 | < 1 | 7 | 19 | 33 | 48 |
85 | < 1 | 7 | 18 | 32 | 47 |
90 | < 1 | 8 | 18 | 32 | 46 |
95 | < 1 | 8 | 18 | 31 | 45 |
100 | < 1 | 8 | 18 | 30 | 44 |
105 | < 1 | 8 | 17 | 30 | 42 |
110 | < 1 | 8 | 17 | 29 | 41 |
115 | < 1 | 8 | 17 | 28 | 40 |
120 | < 1 | 7 | 16 | 28 | 39 |
125 | < 1 | 7 | 16 | 27 | 38 |
130 | < 1 | 7 | 16 | 26 | 38 |
135 | < 1 | 7 | 15 | 26 | 37 |
140 | < 1 | 7 | 15 | 25 | 36 |
女性の体重別インバーテッドロウ基準回数
体 重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
40 | < 1 | < 1 | 8 | 20 | 34 |
45 | < 1 | < 1 | 10 | 22 | 35 |
50 | < 1 | 2 | 11 | 23 | 35 |
55 | < 1 | 4 | 12 | 23 | 35 |
60 | < 1 | 5 | 13 | 24 | 35 |
65 | < 1 | 5 | 13 | 24 | 35 |
70 | < 1 | 6 | 14 | 24 | 34 |
75 | < 1 | 6 | 14 | 23 | 34 |
80 | < 1 | 6 | 14 | 23 | 33 |
85 | < 1 | 7 | 14 | 23 | 32 |
90 | < 1 | 7 | 14 | 22 | 32 |
95 | < 1 | 7 | 13 | 22 | 31 |
100 | < 1 | 7 | 13 | 21 | 30 |
105 | < 1 | 7 | 13 | 21 | 29 |
110 | < 1 | 7 | 13 | 21 | 29 |
115 | < 1 | 7 | 12 | 20 | 28 |
120 | < 1 | 6 | 12 | 20 | 27 |
インバーテッドロウの効果を高めるコツ
インバーテッドロウはやり方次第で効果は大きく変わります。効果を高めるためのコツをご紹介します。
コツ①身体は真っ直ぐ伸ばす
動作中は、身体が常に一直線になっているかに注意しましょう。
インバーテッドロウでは、この身体が一直線になっている姿勢が正しい姿勢です。
正しい姿勢で行うことで正しく負荷がかかり、効果的なトレーニングが見込めます。
また、初めてこの種目を行う方は、いきなり一直線に伸ばすことが難しいかもしれません。
その場合は、膝を曲げて両足をしっかり地面に着けた状態でまずは身体を持ち上げてみましょう。
少しずつ要領に慣れてきたら、足をかかとだけ着けるようにしていき、難易度を上げていきましょう。
コツ②足の力は使わない
インバーテッドロウは、上半身の筋肉に負荷を与えるトレーニングです。
腕に力のみで肘を曲げるのがきついからと足の力を使ってしまうと、効果も十分には得られません。
しかし、筋トレ初心や腕の筋肉などに自信がない方は、慣れないうちは両足を地面につけて踏ん張りながら行う形でも問題はありません。
慣れてきたらかかとだけを地面につける状態で、足の力は使わないようにしてみましょう。
コツ③より負荷を与えるなら地面と並行でやってみる
回数もセットもこなしてさらなる負荷を求める場合は、椅子などを使って足の高さを調整して、身体が地面と並行になるように傾けてみましょう。
この状態ではかなりの負荷がかかるため、より効果のあるトレーニングが期待できます。
上級者の方、トレーニングに慣れてきた方は一度試してみてください。
チンニング(懸垂)との違い
似たようなトレーニングにチンニング(懸垂)もありますが、この2つは方法や負荷の大きさに違いがあります。
インバーテッドロウは身体を斜めに方向けて行うトレーニングであるのに対して、チンニングは身体を直立させて行います。
そしてチンニングは、地面に着けている足ごと肘を曲げて持ち上げるため、上腕二頭筋や広背筋に大きな負荷がかかります。
そのため、慣れていない人や筋力が弱い人は回数をこなすことが難しいトレーニングです。
一方、インバーテッドロウは足を地面に着けて身体を持ち上げるトレーニングであるため、筋トレ初心者の方でも取り組みやすい種目となっています。
大きな負荷を与えて筋肉をより発達させたい人はチンニングを、回数をこなせる程度の負荷でじっくりと筋肉を鍛えていきたい人はインバーテッドロウを行うとよいでしょう。
自身の状況に応じて、これらの種目を使い分けてトレーニングしましょう。
効果と発達する筋肉部位
インバーテッドロウで発達する筋肉の部位と効果についてご紹介します。
肥大化部位広背筋や上腕二頭筋が発達する
この種目では、背中に逆三角形状に広がっている広背筋や、肘を曲げた時の力こぶにあたる上腕二頭筋が発達します。
また、握る際の手の向きが順手か逆手かで、より負荷のかかる部位にも違いがあります。
主に順手の場合は広背筋、逆手の場合は上腕二頭筋により負荷がかかります。鍛えたい部位によってそれぞれを使い分けましょう。
広背筋の機能について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考に読んでみてください。
効果①たくましい力こぶの腕を作れる
上腕二頭筋を効果的に鍛えることで、男性が憧れるたくましく太い腕を作れます。
また、二の腕の脂肪によるたるみを筋肉で引き締められるため、女性にとっても鍛えるメリットがあります。
さらに、腕を鍛えることで日常生活で重い物を持ち上げることも容易になったり、より重い重量のダンベルを上げられるようになり効果的な筋トレが行えます。
大きな力こぶを作ったり、腕の引き締めを目的とする場合は、種目に取り入れてみましょう。
効果②代謝を上げて痩せやすい身体に
広背筋も上腕二頭筋も大きな筋肉であるため、発達すると身体全体の筋肉量も大きく上がります。
筋肉量が多いと基礎代謝も上がるため、脂肪を燃焼できる痩せやすい身体へと変わっていきます。
また、広背筋は鍛えられることで逆三角形型の背中を作ることもでき、たくましい見た目の身体になります。
ダイエット、そして背中の筋肉を目立たせることを目標としている方は、種目に取り入れてみてはいかがでしょうか。
効果③猫背やぽっこりお腹の改善
背中の筋肉が弱いと、猫背などの崩れた姿勢になりがちです。
広背筋をはじめとする背中の筋肉を鍛えることで、真っ直ぐな姿勢を維持できるようになります。
姿勢が整うことで腰の反りが矯正されることによる腰痛の改善や、血行促進による肩こり改善が期待できます。
また、猫背の姿勢はお腹を突き出す姿勢でもあるため、お肉がついていなくてもお腹が出ているように見えてしまう原因にもなります。
姿勢を真っ直ぐにすることでお腹も引っ込んで、身体をスリムに見せることができるでしょう。
猫背改善のために、インバーテッドロウを種目に取り入れてみましょう。
応用自重トレーニング編
インバーテッドロウを応用したやり方もご紹介します。
広背筋や上腕二頭筋を違った角度で攻めたい方はぜひこちらのトレーニング種目も参考にしてみてください。
また、女性や初心者で筋力がない方でも行える鍛え方もあります。
応用①チンニング(懸垂)(別名:プルアップ)広背筋を鍛える
一番ベーシックなチンニングです。
広背筋の上部に刺激を送ります。
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当筋トレ効果のある筋肉各種 |
応用②チンアップ(懸垂)上腕二頭筋を鍛える
一番ベーシックなチンニングと変わり、チンアップは広背筋の下部に刺激を送ります。
また上腕二頭筋への刺激も大きくなります。
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当筋トレ効果のある筋肉各種 |
応用③ワンアームプルアップ|片手懸垂(上腕二頭筋)
片手で懸垂を行う自重トレーニングです。
上腕二頭筋を鍛えるのに適した上級の自重トレーニングです。
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 6回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当筋トレ効果のある筋肉各種 |
おすすめの器具
インバーテッドロウを行うにあたって以下の器具が必要です。
その中でも私が使ってよかったと実感している器具を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
チンニングバー
机やタオルなど家にある道具を使ってトレーニングすることも可能ですが、できればチンニングバーを使用したトレーニングをおすすめいたします。
チンニングバーを手に入れておけばジムに行かなくても、自宅で気軽にトレーニングすることができます。休日や家事の合間など隙間時間を活用できます。
何より、トレーニングできる種目が増えます。
スタンド式だけでなくコンパクトで省スペース性に優れたタイプもありますので、チェックしてみてください。
グリップグローブ
器具を使う際に、グローブの着用を推奨しています。
グリップグローブは器具との滑りを防止してくれる重要な役割があるため、安全に筋トレに励むことができます。
また、グリップ力が高いグローブをつけることで、余分な握力を使わず、狙った筋肉へフォーカスを当てたトレーニングをすることが可能です。
そして、手の平を守ってくれます。
グリップグローブを使わずに、筋トレや鉄棒などを行っていると、マメが出来たり、指や手の平の皮が硬くなってしまいます。
安全性と機能性を考えてグリップグローブを使用した筋トレをおすすめいたします。
お手頃で丈夫なグリップグローブのおすすめも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
トレーニング後のケア
トレーニング後のストレッチケアも大切です。
疲労を残さないことが、長く続けられる秘訣です。
ケア方法として、マッサージとストレッチの順番もポイントです。
基本的にマッサージを行ってから、ストレッチをした方が筋肉はほぐれます。
急に筋トレで縮んだ筋肉を伸ばすより、一旦、手でマッサージをしたり、フォームローラーを利用してほぐしてから、ゆっくりストレッチで伸ばしていきましょう。
今回ご紹介したトレーニングは、主に【背中】の筋肉です。
インバーテッドロウをした後の広背筋をしっかりケアしておきましょう。
背中のケア①ローラーを使って広背筋の筋膜リリースほぐし
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_1075)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
腕のケア②ローラーを使って上腕二頭筋の筋膜リリース
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_1077)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右10回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
北野 優旗
セルフでほぐすのにはグリッドフォームローラーがおすすめです!
カラダの部位に合わせていろいろな使い方ができて、気持ちいいです!
背中をほぐす筋膜リリース
使い方、特徴、機能性など、もっと詳しく商品を知りたい方は、下のページで紹介していますので、参考に読んでみてください↓↓↓
背中ケア③広背筋を緩めるストレッチ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#38)
姿勢 |
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方法 | |
回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
背中ケア④壁を使って背中を伸ばす猫の背伸びストレッチ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#25)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10回ずつ×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
安全と注意事項
インバーテッドロウは、すべてのレジスタンスエクササイズと同様に、効果と安全性のために正しいフォームとテクニックを必要とします。
次の安全と注意事項は、インバーテッドロウを正しく行い、怪我のリスクを減らすのに役立ちます。
- 初心者の方は、特に安全面を考慮してバーの高さを調節して行ってください。
- 体を垂直に近づけるほど負荷が弱く、水平に近づけるほど負荷が高くなります。ご自身のレベルに合わせてバーの高さを調整しましょう。
- 広背筋により効かせるために、バーを握る腕の幅は肩幅もしくは肩幅以上に開きましょう。
- 肩を守るために、体を下げる際にいきなり肘を伸ばさず、ゆっくりと下ろしてください。効果を発揮するためにも、ゆっくりと集中してエクササイズを行います。
- インバーテッドロウ中に痛みや不快感を感じる場合は、運動を中止してください。
- 汗などで滑らないように、グリップを使用することをおすすめします。
- 反動をつけて持ち上げないように気を付けましょう。
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