体を動かさずに、筋トレすることはできるのでしょうか?
それで本当に筋力アップや筋肥大はできるのでしょうか?
実は筋トレ方法の一つに体を動かさずに鍛える「等尺性筋収縮(アイソメトリック コントラクション)」という理論があります。
その等尺性筋収縮の仕組みと方法、メリットなどについて深堀して解説します。
科学的根拠の研究論文と照らし合わせながら解説していきますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
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目次
等尺性筋収縮とは
体を動かさずに筋肉を鍛える「静的運動」のこと。
等尺性筋収縮(アイソメトリック コントラクション)では、筋肉は収縮(力と張力で活性化)しますが、関節には動きがありません。
このタイプの筋収縮では、筋は収縮しても(関節が動かないので)筋繊維の全長の変化はありません。これを「等尺」と表現しています」
また、関節での動きもありませんが、筋繊維はまだ収縮しています。
アイソキネティックな受動運動と等尺性筋収縮が受動的な硬さに及ぼす影響
寺田茂、 三明博一、 内山圭太、 早川翔三、 山崎敏明
2013年
例えば、プランク(フロントブリッジ)、空気椅子トレーニング(ウォールシット運動)のような壁に背中をつけて座り、見えない椅子に座っているかのように膝を曲げる運動です。また壁を押す動きも等尺性筋収縮(アイソメトリック コントラクション)が行われます。
体に動きはないけれど、筋肉には力が入っている状態です。
\ 等尺性筋収縮 / |
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その他の筋収縮の種類
筋収縮には他にも2つの種類があります。
等張性筋収縮(アイソトニック コントラクション)
等張性筋収縮(Isotonic Contraction)は、ウエイトトレーニングでは最も一般的に行われている筋収縮トレーニングです。
等張性筋収縮では、筋繊維が短縮されるのが特徴で、筋力が増強されます。
例)ベンチプレス、ダンベルカール、スクワットなど関節を動かして筋収縮させるトレーニングを指します。
アイソトニック収縮とアイソキネティック収縮の偏心力-速度特性の違い
Yuta Yamada, Naokata Ishii
2018年
等速性筋収縮(アイソキネティック コントラクション)
等速性筋収縮(Isokinetic Contraction)は、専用機器を用いて行うトレーニングで、筋肉が運動開始時の位置に戻りの抵抗による筋収縮を行います。
このタイプの収縮では、筋繊維は短縮されるのではなく、引き伸ばされるのが特徴です。
運動の等速性の概念
Helen J. Hislop, Ph.D., James Perrine
1967年2月1日
メリットとデメリット
関節に動きがないのであれば、等尺性筋収縮(アイソメトリック コントラクション)には何かメリットがあるのでしょうか?
等尺性筋収縮トレーニングのメリットとデメリットについて解説します。
メリット(利点)
等尺性筋収縮を行うことには、さまざまな理由があります。
アイソメトリック・エクササイズの主な利点は、関節に負担をかけることなく、リハビリテーション や一般的な筋力強化に使用できることです。
Conservative treatment includes isometrics training on mat and I-Zer exercise. These exercise programs show effectiveness on reducing pain and improving function in musculoskeletal diseases (Choi et al., 2005; Taylor et al., 2007).
(翻訳)
マット上でのアイソメトリックストレーニングやI-Zer運動が行われています。これらの運動プログラムは、筋骨格系疾患の痛みの軽減と機能の改善に有効であることがわかっています(Choi et al., 2005; Taylor et al., 2007)。
アイソメトリック・エクササイズは、短期的にも長期的にも関節に負担をかけずに、筋繊維を収縮させることができます。
このような理由から、アイソメトリックエクササイズは、関節に問題を抱えた人のリハビリによく使われます。
アイソメトリックエクササイズのもう一つの利点は、専用機器やマシーンなどの道具を使わずにどこでもできることです。
デスクワークや勉強中でも手を合掌して押しあうことで大胸筋の筋肉を収縮させたり弛緩させたりすることができ、筋肉を活性化させることができます。
スポーツの中には、高いレベルの静的な筋力を必要とするものがあります。
例えば、体操、ヨガ、ラグビーのスクラム、ロッククライミング、ダウンヒルスキーなどは、すべて静的な筋力を必要とします。
これらの運動では、関節の動きはさほど大きくなくても、多くの筋力が必要とされます。
\ メリットのまとめ / |
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デメリット(弱点)
リハビリや身体ケアには向いている等尺性筋収縮ですが、筋力アップや筋肥大には等張性筋収縮のトレーニングの方が向いています。
等尺性筋収縮によるトレーニングは、本人の力の入れ具合によって、筋収縮負荷が違ってきます。
また、等張性筋収縮に比べて、関節の動作がゼロであるため筋肥大や筋力アップには適していません。
運動の強度を規定しにくいことが短所となります。
最大筋力で5〜8秒間の持続収縮は分かりやすいのですが、最大筋力50〜60%の筋収縮を10〜15秒となると定量化が困難になります。
自宅で最大筋力〇〇%を定量的に図ることは難しく、本人の感覚でしかなく正確なトレーニングを指導することが困難です。
臨床現場ですと、最大筋力のパーセンテージを定量的に図るハンドダイナモメータ計測器も利用されることもあります。
\ デメリットのまとめ / |
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等尺性運動の例
関節や体を動かさない等尺性筋収縮の運動例をご紹介します。
ハイプランク
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_0831)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
ツタンカーメンブリッジ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_1281)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 6回×2セット (セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当エクササイズ効果のある筋肉各種 |
サイドプランクアップ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_IMG_3590)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右6回×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
ホールテッド・ハンズ|合掌で大胸筋を鍛える
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_IMG_3695)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
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レッグレイズキープ
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_IMG_3790)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 15秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
ハイリバースプランク
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#Q_IMG_4027)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
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