【名称】小腰筋
【よみ】しょうようきん
【英語名称】psoas minor muscle
小腰筋(しょうようきん)は、腸骨筋や大腰筋と共に脊柱の周囲に存在する腸腰筋の一つです。今回は、この筋肉の主な働きやストレッチによるメリットをご紹介しましょう。普段耳慣れない名前の筋肉でも、私たちの生活の中であらゆる役割を持っていることが分かります。
目次
小腰筋とは
最初に、小腰筋の位置や主な働きについて理解を深めておきましょう。実際の位置や働きを正しく知ることは、ストレッチの効果を最大限に高めるためにも、大きな意味があります。
小腰筋の位置(起始停止)
小腰筋の始まりは第12胸椎と第1腰椎で、腸骨筋膜の内部を通り、腸恥隆起もしくは腸恥筋膜弓の内部で終わります。大腰筋より深層に位置しており、普段はほとんど意識することがないインナーマッスルの一つです。
小腰筋の解剖図を動画で簡単解説
【消音】タップして動画を見る(#76)
なお、人によっては小腰筋自体が存在しないこともあります。一説によると、50%の人に存在していないとされています。しかし、インナーマッスルの一つであるため、実際に存在しているかどうかを解剖なしに確認するのは非常に困難です。
起始 | 第12胸椎、第1腰椎(椎体外側面) |
停止 | 腸骨筋膜、恥骨(腸恥隆起) |
神経 | 腰神経叢 (L1-L2) |
作用 | 腰椎の側屈 |
小腰筋の作用
主な働きは、大腰筋や腸骨筋をサポートすることで、単独で働くことはほぼありません。大腰筋や腸骨筋と同様に、腰に位置するインナーマッスルとして股関節を動かす働きをします。具体的には、腸骨筋の腱を引っ張ることで、股関節を動かすサポートをするのです。
小腰筋の体幹部・脊椎の屈曲動作を動画で簡単解説
【消音】タップして体幹部・脊椎の屈曲動作を見る(#D33)
体幹部・脊椎の屈曲動作では小腰筋の他に、脊柱起立筋群である外腹斜筋、内腹斜筋、大腰筋、腸骨筋、腹直筋なども連動して体幹部・脊椎の屈曲動作を行います。
※参考:Muscle Premium – Visible Body
たとえば、階段を上るときやサッカーボールをリフティングするときなどに、太ももを引き上げる働きをします。ただし、補助的な立ち位置の筋肉であるため、大腰筋や腸骨筋の働きを高めるように作用するのが特徴です。
おすすめ書籍私がおすすめする参考書籍です。ぜひ興味のある方はご覧ください。北野 優旗
では、さっそく小腰筋のストレッチを行ってみましょう!
小腰筋のストレッチ方法
動画で分かりやすくストレッチ方法を解説
小腰筋のストレッチ方法①
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#47)
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
小腰筋のストレッチ方法②
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#59)
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
小腰筋のストレッチ方法③
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#66)
姿勢 |
|
方法 | PNFという手法でインナーマッスルをほぐします。
※PNFとは、筋肉に一度緊張状態をつくり、急激な脱力を与えることで筋線維が緩むという特性を使ってストレッチケアを行う手法です。 |
回数 | 5秒×左右2セットずつ(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
小腰筋(腸腰筋)の筋膜リリース!股関節と腰部をローラーストレッチでほぐす
【消音】 タップしてフィットネス動画を見る (#R_MVI_1081)
姿勢 |
|
方法 |
|
回数 | 4往復ローリング×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
|
効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
北野 優旗
セルフでほぐすのにはグリッドフォームローラーがおすすめです!
カラダの部位に合わせていろいろな使い方ができて、気持ちいいです!
背中をほぐす筋膜リリース
使い方、特徴、機能性など、もっと詳しく商品を知りたい方は、下のページで紹介していますので、参考に読んでみてください↓↓↓
小腰筋をストレッチする効果
小腰筋をストレッチでほぐすと実際にどんな効果があるのか、具体的に見ていきましょう。比較的小さな筋肉でも重要な役割を持っており、ストレッチするとさまざまなメリットがあることが理解できるはずです。
効果股関節の動きを滑らかにする
小腰筋をストレッチをする効果の一つに、股関節の動きが滑らかになることが挙げられます。普段運動をする習慣がない人や、歩き方が悪い人、同じ姿勢を長時間取り続ける人などは、どうしても股関節が硬くなって柔軟性を失ってしまうものです。しかし、股関節の動きが悪くなると日常生活にさまざまなデメリットをもたらすので、日ごろから柔軟性を保つようにする必要があります。
適切なストレッチにより股関節の動きが滑らかになれば、今までよりも簡単に太ももを引き上げやすくなったり脚を開きやすくなったりします。具体的には、階段を上るときや、段差を超えるときなどに不安がなくなることでしょう。また、より柔軟に動けるようになるので、スポーツが上達します。実際に、スポーツが得意な人を見れば、股関節に十分な柔軟性があることが分かるでしょう。
たとえば、ヨガに興味があるけどうまくあぐらをかくことができない、脚がよく開かないために二の足を踏んでいるというのなら、ぜひストレッチをしてみましょう。股関節の動きが滑らかになれば、今までできなかったポーズがすんなりできるようになり、自信が持てるはずです。そのほかにも、スポーツ時のパフォーマンスが向上して、よい結果を出しやすくなるのもうれしいメリットです。さらに、プレー中につまづいたり転倒したりしにくくなり、思わぬケガをするリスクも減るなどよいことばかりです。
効果大腰筋、腸骨筋の動きをサポートする
小腰筋をストレッチすると、骨盤周辺のインナーマッスルである大腰筋や腸腰筋の動きをサポートできます。骨盤周辺のインナーマッスルには、骨盤や股関節の動きをスムーズにし、体幹のバランスを取ったり安定させたりするために重要な働きがあります。それぞれのインナーマッスルが連携して働くことで、骨盤や股関節にかかる負担が最低限になるのです。
大腰筋の解剖図を動画で簡単解説
【消音】タップして動画を見る(#75)
小腰筋の柔軟性がアップして働きがよくなれば、骨盤や股関節周辺のインナーマッスル全体のサポートとなり、相乗効果が生まれます。それぞれの筋肉がうまく連携して働くことで、よりスムーズかつ楽に骨盤や股関節を動かすことが可能になるのです。
また、腰周辺の筋肉が連動して働きがよくなれば、腰の疲れやだるさを解消することにつながります。在宅ワークなどで椅子に長時間座ることが多い人や、家事や育児などで腰に大きな負担がかかる人ほど、きちんとストレッチをすることがおすすめです。腰の違和感が徐々に薄れて、つらさをやわらげることができます。
効果股関節のインナーマッスルをケアして、ぽっこりお腹解消
股関節のインナーマッスルをケアできるため、気になるぽっこりお腹を解消することができます。一見してスリムな印象を与える人でも、なぜかお腹だけぽっこりしている人はとても多いものです。特に、30代以降の女性には、何をやってもへこんでくれないぽっこりお腹に悩んでいる人がたくさんいることでしょう。
お腹がぽっこりしていると、どんな洋服を着ても今一つ決まりません。周囲からも意外と太っていると思われてしまったり、人によってはお腹に赤ちゃんがいるのではと誤解されてしまったりすることもあるでしょう。すっきりとスリムなお腹になっていろいろな洋服を着こなすためにも、また、思わぬ誤解を受けないためにも、小腰筋のストレッチをコツコツやってみてください。
ストレッチを続けるほどに、気になるお腹が引き締まってぽっこりしなくなってきます。以前はいていたお気に入りのスカートやジーンズなどもスムーズに入るようになり、食事をしてもお腹周りが苦しくなくなることでしょう。すっきりしたお腹になれば、見た目年齢が若くなるのと同時に、年齢を重ねても好きなファッションを楽しみ続けることが可能です。
効果骨盤の位置を安定させる
女性は出産や育児を経験することで、骨盤周辺に大きな負担がかかりがちです。実際に、疲労がたまったときなどに、強い違和感や動きづらさを感じる人も多くいます。しかし、正しくストレッチして柔軟性を取り戻すことができれば、徐々に骨盤の位置を安定させることが可能です。
骨盤の位置が安定すれば、腰の違和感やだるさも軽減できます。重心がしっかりしていれば、姿勢がブレることも少なく、腰椎にかかる無駄な負担を減らすことができるからです。家事や育児の疲れが腰に出やすい人は、骨盤の位置が不安定になっている可能性があります。思い当たることがある人は、ストレッチをしてみるとよいでしょう。
また、骨盤の位置が安定すれば内蔵の働きもよくなるので、便通も改善されて生き生きとした体作りにつながります。老廃物がスムーズに排出されて、全身の新陳代謝が活発化するので、肌の調子がよくなるのもうれしいポイントです。さらに、内臓の位置が改善されて働きが正常化すれば、スリムなお腹になることも期待できます。骨盤の位置を安定させて若々しく健康な体を維持するためにも、積極的にストレッチを行うようにしましょう。
小腰筋ストレッチのまとめ
小腰筋の位置や働きを理解し、意識してストレッチするようにしましょう。大腰筋や腸骨筋をサポートする働きをする筋肉なので、それぞれの筋肉と同様に十分なストレッチをして、よくほぐしておくことが大切です。日ごろから意識してストレッチをしておけば、股関節の動きが滑らかになり、脚を上げやすくなります。また、骨盤の位置が安定してぽっこりお腹も解消できるのもメリットです。大腰筋よりも深層に位置することからなじみの少ない筋肉ですが、しっかりストレッチしておくことをおすすめします。
コメント