【名称】肩甲下筋
【よみ】けんこうかきん
【英語名称】Subscapularis
肩の関節はさまざまな役割を担っています。たとえば、腕を内側や外側にひねったり、上げたり下げたり、ボールを投げたりといった動きができるのも肩関節がしっかり働いているからです。そんな肩関節を支える筋肉の一つ、肩甲下筋について、その位置や働きなど筋肉の詳細と、ここをストレッチすることのメリットなどをお伝えしていきます。
目次
肩甲下筋とは
肩甲骨は、腕と鎖骨でつながっているだけで直接胴体とはつながっていません。
腕と鎖骨の間にあるさまざまな筋肉で支えられているのが肩甲骨です。
肩甲下筋も、文字通り肩甲骨を支える筋肉の一つですが、具体的にはどこに位置しており、どのような働きを担っているのでしょうか。
肩甲下筋の解剖図を動画で簡単解説
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肩甲下筋の位置(起始停止)
肩甲下筋とは、肩甲骨と腕の骨(上腕骨)をつなぐ「回旋筋腱板」(「ローテーターカフ」や単に「腱板」とも)という4つの筋肉からなる腱を構成する筋肉です。小円筋、棘上筋、棘下筋と一緒に肩甲骨を支えているのですが、肩甲下筋は肩甲骨の裏側、肋骨との間に位置し、そこから上腕骨につながっています。そのため、回旋筋腱板のなかでも体の奥に位置しており、体の表面からではほとんど確認することができません。自分ではなかなかケアがしにくい筋肉と言えるでしょう。
起始 | 肩甲下窩・肩甲骨肋骨面 |
停止 | 上腕骨小結節・小結節稜 |
動脈 | 頸横動脈、肩甲下動脈 |
神経 | 肩甲下神経(C5、C6) |
作用 | 肩の内旋 |
肩甲下筋の作用
そんな自分で確認しにくい肩甲下筋ですが、私たちが行うさまざまな日常動作で重要な役割を果たしています。肩甲下筋は小さな筋肉ながら、肩関節を安定させるのに不可欠な存在で、腕をぶんぶん動かしてもはずれないのは肩甲下筋がしっかり働いている証拠です。
肩甲下筋の肩の内旋を動画で簡単解説
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肩の内旋動作では肩甲下筋の他に、広背筋、大円筋、三角筋、大胸筋なども連動して肩の内旋動作を行います。
※参考:Muscle Premium – Visible Body
肩甲下筋の具体的な働きは、まず、肩関節を内側にねじる動き(内旋)や腕を下げる動き(内転)を支えることです。また、物を投げるような動きの時に肩関節を伸ばす動作をサポートしています。回旋筋腱板のなかでも小さな筋肉で目立たない存在ですが、実はとても高い強度を持っており、肩甲下筋を鍛えることでボールを強く投げたりラケットを強く振ったりできるようになったりと、スポーツのパフォーマンスを高めるのにも有効なのです。
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では、さっそく肩甲下筋のストレッチを行ってみましょう!
肩甲下筋のストレッチ方法
動画で分かりやすくストレッチ方法を解説
肩を内旋させて肩甲骨の裏はがし
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
肩甲下筋を動かして可動域が広がるストレッチ
【消音】タップしてフィットネス動画を見る (#26)
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
肩甲骨をはがしながら裏まで伸ばす
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 10秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
肩甲骨の周辺筋群とインナーマッスルを伸ばす
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姿勢 |
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方法 |
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回数 | 左右30秒×2セット(セットの間隔は1分程あけましょう) |
ポイント |
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効果 |
当ストレッチ効果のある筋肉各種 |
肩甲下筋ストレッチのメリット
肩甲下筋の緊張をほぐすようにしっかりストレッチしてあげることで、さまざまなメリットがもたらされます。
効果姿勢の改善
デスクワークをされている方によく見られるのが背中が丸まった姿勢です。
肩が体より前に出て背中が丸まってしまっている方が多いですが、このような姿勢になるのは肩甲骨の周辺にある筋肉の凝りが関係しています。
デスクワークでパソコンに長時間向かっていることのほかに、手元のスマホに向かって長時間視線を落としていることも大きな原因です。
良くない姿勢を続けていると肩甲下筋が凝り固まってしまいますので、ここをしっかりストレッチすることで姿勢の改善につながるでしょう。
効果肩がほぐれる
姿勢とも関係しますが、背中が丸まり肩が体の前方に出た姿勢を続けていると、両側の肩甲骨が離れてしまい上手に動かせなくなってしまうことがあります。
そうなると背中から肩にかけての血行が悪くなり、こってしまうのです。
肩甲下筋のストレッチはつらい肩の解消にも効果が期待できます。
効果スポーツパフォーマンスの向上
肩甲下筋はボールを投げたりラケットを振ったりといった、腕を振る際に強く刺激される筋肉ですので、テニスやバレーボールなどの球技をされる方だと知らず知らずのうちに酷使していることがあります。
肩甲下筋をしっかりストレッチしてほぐしてあげることで、ケガを防ぐとともに腕を振り下ろす動作がしやすくなり、パフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
肩甲下筋ストレッチのまとめ
肩甲下筋は、体の表面から確認することのできないとても小さな筋肉ですが、腕を振るような動作など日常生活のさまざまな場面で重要な働きを担っているインナーマッスルです。
北野 優旗
姿勢や肩周りのガチガチとも関係しているので、柔軟性を維持するためにしっかりストレッチしておきましょう。
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