「スクワット100kgって本当にすごいの?」そんな疑問を抱いたことはありませんか?SNSでよく見かけるこの重量。しかし、体格や性別、トレーニング歴によって「すごさ」の基準は大きく変わります。本記事では、スクワット重量の「すごい」の基準を科学的かつ実践的に掘り下げ、あなたが本当に目指すべき目標を明らかにします。
こんな人におすすめの記事:
- スクワット100kgを目指しているが基準が分からない方
- SNSの情報に振り回されず、正しいトレーニング指標が欲しい方
- 自分に合った筋力レベルの目安を知りたい方
- 重量アップの具体的な方法を学びたい中級者以上の方
- 女性や軽量級でも「すごい」と言える目安を探している方
目次
スクワット何キロから「すごい」と言える?世間の目と現実のギャップ
スクワットは「キング・オブ・トレーニング」とも称され、重量がひとつのステータスとされがちです。特にSNSでは「スクワット100kg」をひとつの“すごさ”の目安として投稿されることが多く、憧れを抱く方も少なくありません。しかし、実際には体格や経験値によってその評価基準は大きく異なるのです。
100kg=すごいは本当か?SNSの声と実際の平均
「100kgは誰にとっても“すごい”ではないが、ひとつのわかりやすいマイルストーンである」というのが事実に基づいた冷静な評価です。
SNSにおいては、「100kgのスクワットを達成した!」という投稿が映え、称賛されやすい傾向にあります。しかし、これはあくまで「印象的な数字」であって、すべての人にとって等しくすごいわけではありません。
たとえば、以下のように体重や性別によって達成しやすさが異なります:
- 男性(体重70kg前後):初心者?中級者レベルで達成可能
- 女性(体重50kg前後):中級者以上でなければ難しい
- アスリート層:100kgは基礎ラインに過ぎない
一方、文献的にも100kgという数字はトレーニング歴1年以上の中級者が目指すひとつの通過点として紹介されています(出典:Essentials of Strength Training and Conditioning)。
100kgという数字の「すごさ」は、見栄えとしてのインパクトが大きいが、必ずしも個人にとっての実力評価とは一致しないことに注意が必要です。
多くのトレーナーが共通して語るのは、「その人の体重比を基準にすべき」という点です。次節では、それをさらに詳しく見ていきましょう。
北野 優旗
SNSの数字は参考にはなっても、基準にはなりません。自分に合った負荷設定でコツコツ記録を伸ばしていくことが、最終的に“すごい”成果につながります。
スクワットの筋力レベル別目安一覧
「何キロ挙げられたら上級者?」という疑問に答えるには、体重に対するスクワット重量比が有効な指標となります。これは科学的にも有効な基準とされ、世界的にも広く使用されています。
体重比で見る初心者・中級者・上級者の基準
「スクワットの実力は、体重に対する比率で見よう」というのが、筋力トレーニングにおける常識です。
以下は、男性および女性を対象としたスクワット重量レベルの目安です。
性別 | レベル | スクワット重量(体重比) |
男性 | 初心者 | 0.75 × 体重 |
男性 | 中級者 | 1.25 × 体重 |
男性 | 上級者 | 1.75 × 体重 |
女性 | 初心者 | 0.5 × 体重 |
女性 | 中級者 | 0.9 × 体重 |
女性 | 上級者 | 1.25 × 体重 |
たとえば、体重70kgの男性であれば:
- 初心者:52kg
- 中級者:87kg
- 上級者:122kg
つまり、「スクワット100kg=すごい」という見方は、男性中級者?上級者レベルに当たる体重比のラインであることがわかります。
ただし、体重50kgの女性にとっては:
- 初心者:25kg
- 中級者:45kg
- 上級者:62kg
となり、女性が100kgを挙げることは相当な上級者でも難しいレベルといえるでしょう。
このように、体重比を用いた基準により、自分がどのレベルにいるかを明確に把握できます。
北野 優旗
体重が増えればその分スクワット重量も伸びやすくなりますが、脂肪よりも筋肉を増やす方が圧倒的に有効です。体重比1.5倍をひとつの目安に設定すると良いでしょう。
スクワットで得られる身体的・心理的メリット
スクワットは単なる下半身の筋トレではありません。全身の筋肉を連動させる複合関節運動(コンパウンド種目)であり、心身に多くの好影響を及ぼします。筋力増加はもちろんのこと、精神面やホルモン分泌にも効果が期待される万能トレーニングです。
脚トレだけじゃない!腹筋・背中・精神力まで育つ
「スクワットは、下半身だけでなく全身を鍛える“王様のトレーニング”である」というのがトレーナーたちの共通見解です。
スクワット動作では、以下のような筋肉が同時に働きます:
- 下半身の主動筋:大腿四頭筋・ハムストリングス・大臀筋
- 体幹の安定筋:脊柱起立筋・腹横筋・腹斜筋
- 上半身のサポート筋:僧帽筋・広背筋(バーベルを担ぐ時)
これにより、以下のような全身的メリットが得られます:
- 筋肉量・代謝アップ:スクワットは大筋群を刺激するため、基礎代謝が上がりやすい。
- 姿勢改善:体幹強化により、背筋が自然と伸びやすくなる。
- 生活動作の向上:階段・しゃがみ動作・荷物の持ち上げなど日常動作が楽になる。
また、スクワットによる「しんどさ」にはメンタル的な効果もあります。限界まで追い込む経験は、自己効力感(できるという感覚)を高め、困難への耐性を養うのです。
2021年の論文では、週2回のスクワットトレーニングがうつ症状や不安レベルを下げ、幸福感スコアを有意に向上させたことが報告されています。
The anxiolytic effects of resistance exercise(抵抗運動の抗不安効果)
スクワットは筋トレであると同時に“自信とポジティブ思考を生み出す心のトレーニング”でもあるのです。
北野 優旗
筋肉だけでなくメンタルも強くなるのがスクワットの魅力。重さにこだわりすぎず、継続的に行うことが一番の効果です。
種類で異なる「重さのすごさ」?スクワットの多様な世界
「スクワット」と一口に言っても、フォームや負荷のかけ方によって種類は多岐に渡ります。それぞれのバリエーションによって求められる筋力・柔軟性・バランス能力が異なり、同じ重さでも「すごさ」の意味合いが変わってくるのです。
バックスクワットとフロントスクワットの負荷の違い
「スクワットの種類が違えば、“同じ100kg”でも難易度はまったく異なる」ということを理解しておく必要があります。
ここでは代表的な3種のスクワットについて、負荷特性を比較してみましょう:
種類 | 特徴 | 難易度 | 主に鍛える部位 |
バックスクワット | 一般的なスクワット。バーベルを背中に担ぐ | ★★★ | 大臀筋・大腿四頭筋・ハムなど |
フロントスクワット | バーベルを肩前部で担ぐ。上半身の直立が必要 | ★★★★ | 大腿四頭筋・体幹・姿勢筋 |
オーバーヘッドスクワット | バーベルを頭上に挙げたままスクワット動作を行う | ★★★★★ | 全身・バランス能力・肩・コア |
バックスクワットは最もスタンダードで重量を伸ばしやすい形式ですが、フロントスクワットは重心が前にあるため上半身の柔軟性と体幹安定性が求められます。
さらに、オーバーヘッドスクワットは重量が落ちる代わりに、全身の筋バランスと可動域が試される難易度の高いスクワットです。
同じ100kgでも、バックスクワットでは可能でも、フロントやオーバーヘッドでは全く通用しないことも多々あります。
北野 優旗
ひとつの種目にこだわるよりも、さまざまなスクワットを取り入れることで、よりバランスの良い筋力と柔軟性が手に入ります。特に可動域の向上はケガの予防にも直結します。
100kg超えを目指すための実践トレーニング戦略
スクワット100kg以上を目指すには、感覚任せのトレーニングでは限界があります。科学的な強度設定と段階的な負荷調整が不可欠です。さらに、補助種目やフォーム修正、ギア活用といった“周辺戦略”も記録更新には重要な鍵となります。
RM(Repetition Maximum)を活用した計画立て
「RMを使って、自分に合ったトレーニング重量を設定することが、100kg突破への最短ルートである」と言えます。
RMとは「1回だけ挙上可能な最大重量(1RM)」のこと。RMを基準にして、以下のように強度を設定できます:
トレーニング目的 | 使用重量の目安(1RM比) | 反復回数(目安) |
筋肥大(バルク) | 65?80% | 8?12回 |
筋力向上 | 80?90% | 3?6回 |
最大筋力 | 90?100% | 1?3回 |
たとえば、現在の1RMが90kgであれば、筋力向上のフェーズでは72?81kgを3?6回で行うのが適切です。
段階的に負荷を高める「漸進的過負荷原則(progressive overload)」に従い、RMを基準にして毎週微調整することで安全かつ確実に筋力を伸ばすことができます。
トレーニング内容の記録も必須です。日々の使用重量・回数・体調・食事などを記録し、何が効果的かを“データ”で分析できる習慣をつけましょう。
論文でも、RMベースで設計されたトレーニングプログラムの方が、感覚的なトレーニングよりも筋力向上が高かったとされています。
The effects of velocity-based versus percentage-based resistance training on athletic performances in sport-collegiate female basketball players(スポーツ大学女子バスケットボール選手における速度ベースとパーセンテージベースの抵抗トレーニングが運動パフォーマンスに与える影響)
数字で管理し、段階的に重さを上げていくことが、100kg超えのスクワットへの現実的なアプローチなのです。
北野 優旗
RMはただの目安ではなく、自分の状態を測る“トレーニングの物差し”です。3ヶ月ごとに測定し直すことで、トレーニング強度のズレを防ぎましょう。
「SNSに載せると褒められる重量」は何kg?
現代ではトレーニング内容をSNSに投稿する人も多く、「何kgからが“すごい”と見られるのか?」という点もひそかな関心ごとになっています。しかし“映え”と“実力”は必ずしも一致しません。
インスタ映えする重量のリアルな基準
「SNS映えする重量は、ターゲット層によって大きく異なる」ことを理解しましょう。
- 男性トレーニー向けアカウントでは、140kg以上のスクワットで注目される傾向があります。
- 女性向けフィットネスアカウントでは、40~60kgで“すごい!”とされることも。
つまり、「誰に向けて投稿しているか」によって、評価される重量のハードルがまったく違うのです。
また、SNSでは次のような要素が「すごい」と判断されやすい傾向があります:
- 数字のキリがいい(100kg・120kgなど)
- フォームがキレイでダイナミック
- 本人のビフォーアフターがわかりやすい
- コメント欄で「すごい」「尊敬」といったリアクションが付きやすい雰囲気
つまり、“見せ方”によって同じ重量でも「すごさ」が変わって見えるのがSNSの特徴です。
SNSで認められたいなら、重量そのものよりも「変化」「物語性」「映像映え」を意識した演出がカギとなります。
一方で、現実のトレーナーたちは「数字よりも継続力」や「正確なフォーム」を評価します。
北野 優旗
他人からの賞賛を得るために重量を無理して上げるのは危険です。本当にすごいのは“ケガせず、続けてる人”ですよ。
目標を見失わないために:自分基準を大切に
スクワットに限らず、筋トレで最も重要なのは「自分なりの成長基準を持つこと」です。他人と比べて焦ることは、ケガや燃え尽き症候群に直結するリスクを伴います。
他人の記録に焦らない!継続と安全が第一
「スクワットの本当の価値は、数字よりも“継続できるフォーム”にある」という考え方が、近年のフィットネス界で重視されるようになってきました。
たとえば、以下のような思考がトレーニングを健全に続ける上で役立ちます:
- 記録更新よりも、週2回の実施が優先
- 筋肉痛の有無より、継続したフォーム改善
- 体重や他人の記録より、過去の自分との比較
SNSやジム仲間の記録が気になってしまうのは当然ですが、最も信頼すべきは「過去の自分」です。
記録が伸びない時期があっても、体調・睡眠・ストレスなどによってパフォーマンスは変動します。これを許容できるメンタルが長く続けるためには必要不可欠です。
また、フォームが乱れたまま重量を追うと、腰・膝・股関節のケガにつながりやすく、トレーニング継続の最大の障壁になります。
スクワットは、筋肉だけでなく“自己管理力”も養う競技だと言えるでしょう。
北野 優旗
「昨日の自分よりちょっと良くなる」が筋トレの最強メンタルです。他人と比べる時間があったら、フォーム動画を1回でも見直してみましょう。
スクワットに関するよくある質問
スクワットの重量設定やフォーム、継続方法など、トレーニングに取り組む多くの人が共通して抱える疑問を、ここでまとめて解消していきます。「よくあるけど、意外と答えづらい」そんな疑問にも正面からお答えします。
Q1. 女性でもスクワット100kgは目指せるの?
目指せますが、体重やトレーニング歴によってはかなりの努力が必要です。
一般的に、女性の筋量は男性より少なく、ホルモン(特にテストステロン)分泌量も少ないため、筋肥大には時間がかかります。しかし正しいプログラムと栄養、休養を意識すれば、100kg達成は決して不可能ではありません。特に体重60kg前後の女性であれば、体重比1.5~1.7倍が達成の目安です。
Q2. どのくらいの期間で100kgを挙げられるようになる?
週2回以上の正しいトレーニングで、約1~2年が目安です。
完全初心者が100kgに到達するまでの期間は、体格・年齢・遺伝要素・栄養状態などによって異なりますが、コンスタントな取り組みと漸進的過負荷を意識すれば、1~2年で達成するケースが多いです。筋トレ歴半年で100kgを達成する人もいれば、3年かけてやっと届く人もいます。
Q3. ジムに通わず、自宅だけでも重量を伸ばせる?
可能ではあるが、限界はある。段階的にジムを検討した方がいい。
自重スクワットやダンベルを使ったトレーニングでも初期段階では十分効果があります。ただし、自体重や簡易負荷ではやがて刺激が足りなくなり、筋肥大・筋力向上が頭打ちになる可能性が高いです。長期的にスクワット100kgを目指すなら、バーベルが扱える環境を確保することが最も効率的です。
Q4. 膝や腰に痛みが出た場合はどうすればいい?
すぐに中止し、フォームの見直しと専門家のチェックを受けましょう。
スクワットは正しいフォームで行えば、関節への負担を最小限に抑えられます。しかし、フォームの乱れや可動域の不足、過負荷トレーニングが原因で痛みが出ることもあります。整形外科または理学療法士の診断を受け、トレーニングは一時休止するのが賢明です。痛みを我慢して続けると、回復に数ヶ月かかる重大な障害につながることも。
Q5. 食事や栄養で重量アップに効果があるものは?
高たんぱく・中炭水化物のバランス型食事が効果的です。
筋肉を育て、重量を伸ばすには「トレーニング・栄養・睡眠」の三本柱が不可欠です。特に重要なのがたんぱく質で、体重1kgあたり1.6~2.0gを目安に摂取するのが理想。加えて炭水化物も重要なエネルギー源で、筋トレ前後に摂ることで筋出力とリカバリーを強化できます。
プロテイン、クレアチン、ビタミンDや亜鉛などのサプリメントも適切に活用すれば、筋力向上を効率よく支えてくれます。
あなたにとっての「すごいスクワット」を目指して
「スクワット何キロからすごいのか?」という問いには、絶対的な正解はありません。なぜなら、すごさの基準は「他人の評価」ではなく「あなた自身の成長」で測るべきだからです。
たしかに、100kgという数字はひとつの目安であり、多くの人にとっての目標になります。しかし、それはゴールではなく通過点でしかありません。すごいスクワットとは、自分にとって達成感があるかどうか、成長を実感できているかどうかに尽きます。
この1記事で紹介してきた内容を振り返ると、以下のようなステップで“あなたにとってのすごさ”を構築できるはずです。
- 体重比で目安を把握しよう(男女差や体格による調整も重要)
- 重量だけでなく、フォームや継続力も意識しよう
- RMを使った科学的な計画で効率的に伸ばそう
- 他人ではなく過去の自分と比べるようにしよう
- SNSに振り回されず、楽しみながら続けることを大切にしよう
最後に、スクワットで成果を上げる人の共通点は「続けられる環境・方法・メンタルを持っている」ことです。重さにこだわりすぎず、心身ともに健やかなスクワットライフを送ってください。
あなたの「すごい」は、あなたの中にあります。比べるべきは、昨日の自分。それが最強のトレーニング基準です。
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